君が人を好きになった時に取るべき最善の方法は、その人のことをきち
んと知ろうと目を凝らし、耳をすますことだ。そうすると、君はその人
が自分の思っていたよりも単純ではないことに気づく。極端なことを言
えば、君はその人のことを実は何も知っていなかったのを思い知る。
                    金城一紀著『映画篇』より


今更ながら、読んでみた。既に読んでいる方も多いことだろう。読むきっかけになったのは、以前にも書いたが著者である佐藤尚之氏の話を最近セミナーで聴く機会があり、多分に影響を受けたからである。3年以上も前に書かれた本ながら、僕に取っては十分に今現在の話として受け取ることができた。
内容としては、インターネットの普及のころから大きく変わり始めた消費者に対し、どのようにコミュニケーションすれば伝えたいことを伝えられるのか、ということをわかりやすく説明したものである。著者は電通においてCMプランナーから始まり、webプランナーなどを経て現在はコミュニケーションデザインを主たる領域とするクリエイティブ・ディレクターである。著者が関わった事例やその他の有名な事例などもいくつか紹介されているが、特にスラムダンクの井上雅彦氏とのキャンペーンは、ちょっと特殊な事例ではあるものの次のコミュニケーション展開のあり方を示してくれていて「俺もいつまでも今のままの意識ではイカン!」と痛感させられた。
この本で著者が言いたかったことは、変化した消費者にコミュニケーションするには、とにかく伝えようとする相手のことを徹底的に知ろうとすること、ということである。コミュニケーションデザインの基本のほぼすべてが、冒頭の金城一紀の言葉の中に入っていると書いている。そんなことは今までだってやっている!とおっしゃる方も多くいるだろう。僕自身もクリエイティブブリーフを書く際に、コンシューマーインサイトは・・・なんて書いている。ただもう少し考えてみるとこの本でも書かれているが、相変わらずターゲットの切り口をF1、F2なんて固まりで考えていたり、高校生=モバイルヘビーユーザーなど、ステレオタイプにくくってしまっているような気がしている。(今頃そんなのはお前だけだ!と言われれば素直にごめんなさい。)
「消費者は根本的に変わった」ということを前提に、今までの消費者イメージを捨てて、もっともっと消費者本位でコミュニケーションしていこう。そのために既存のやり方や考え方も少しずつ変えていかなくちゃ、との著者の意見には素直にうなずけるものがある。
なんてまとめたが、僕自信の実際の仕事では、まだまだ試行錯誤が続くことだろう。なんせ最近ターゲットの意識調査なんてトントやっていないからなぁ・・・。

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