以前、広島県のとある小学校で、デジタル教材を使った授業の実証実験がありまして、参加をさせてもらった事がありました。
校長先生とお話しする機会を頂いた時に、「生徒たちに今一番教えたい事はなんですか?」とお聞きしたのですが、校長先生はこうおっしゃいました。
「子どもたちには、本物を知ってほしい。本物から学んでほしい。」
私は、この言葉にとても共感しました。今もずっと大事にしている言葉です。
そういえば、私も子供の時に、本物に触れた事が今の仕事に繋がっています。
子供の頃の私は、将来、「技師」になると決めていました。
そのきっかけとなったのは、どこかの産業展示会でエンジニアの「手仕事」を見たことでした。
工作が好きだったこともあって、工業機械に興味があり、確か父親に頼んで見に行ったのだと思います。
どんな機械を展示していたのか具体的なところは忘れましたが、非常に大きな機械で、確か、金属の部品を作る機械でした。
時たま大きな音を立てて止まって、若いエンジニアがその度に機械の周囲を見てまわるのですが、その焦る様子とは裏腹に、定期的の止まってしまう状態は少しも変わりません。
そこに、胸に会社名の入った作業服を着たおじさんが、颯爽と現れ、すがりつくような目の、その若いエンジニアには目もくれず、機械の2、3箇所にすっと手を入れて、何かやっています。
おもむろに、どこかのボタンを押すと、機械はまた動き出すのですが、数秒で止まっていた状態は、すっかり解消されています。
そして、そのおじさんは、若いエンジニアに一言何か言って、また颯爽と去って行きました。若いエンジニアはその姿が見えなくなるまで、何度も頭を下げていました。
そのシーンだけが、強烈に残っていて、なんの機械だったのか、どこの会社のものだったのかはもう覚えていないのですが、そのおじさんエンジニアのかっこよさは忘れません。
憧れる人、憧れる仕事
子供の頃に憧れていた仕事に就けることほど、幸せなことはないと、今、心から思います。
私は、実は極めて飽きっぽい性格なので、好きな事というのは、結構コロコロ、周囲にご迷惑をおかけするほどドラスティックに(笑)、変わります。
でも、憧れはかわりません。やっはりあの、おじさんだったり、高校生の時、エニックスの第二回ゲーム・ホビープログラムコンテストの受賞会場で見かけた、上位入賞者の方々や、その後ビジネスの世界に入って私の師匠になってくれた方々に憧れて、自分もそうなりたいと思って、今まで仕事を続けてきました。
経営者としても、憧れる経営者が身近にいたことは、とても幸運でした。
これは、あくまで私の場合ですが、仕事に憧れるというより、憧れる人の仕事に憧れるということろがあります。
何のご縁かはわかりませんが、憧れさせてもらえる方々に出会えたことを、本当に幸せに思います。
憧れのプログラマは何処に
このような報道がありました。全国の中学校の数に匹敵するプログラミング・クラブを創設するという試みのようです。
米国にも、様々なプログラミング・クラブはありまして、親子で楽しめるものやら、ちょっとカトリック的な志向のおぼちゃま集い系のものやら、地域企業が中心になって運営しているものやら、様々で、目的や方向性も実に様々です。
日本のように政府がわざわざ創設を表明するというのも変な話ですが、基本的には趣味をベースにプログラミングを学ぼうというというサークルなので、とても自由なものです。
自分のスキルを知らしめたいという意図なのか、それとも慈善の心なのか、はたまた、企業のエンジニア確保のための青田買いなのか、理由はよくわかりませんが、こうしたプログラミング・クラブには、すごいプログラマが参画しているそうです。
友人から聞いた話では、AppleとかGoogleの一流プログラマも多いとか。
ゲーム系やCG系のプログラマも多く、遠い昔の遥か彼方の銀河系が舞台の某SF映画で、SFXのメイン・プログラマをやっている人なんかも参加していると聞くと、私がそのクラブに参加させてもらいたいと思うほどです。
そのようなプログラミング・クラブで、本物の一流プログラマに接することができるなんで、なんと羨ましいことでしょう。
そして、そんな憧れの存在を見つけて、がんばって勉強して、MITに入ってマスター取って、年収5000万ぐらい稼ぐプログラマになる子どもたちが、どんどん出てくるのでしょう。すばらしいですね。
さて。
日本ではどうでしょうね。
知ってることだけひけらかす、三流以下のプログラマや、完全にサラリーマン化して仕事を楽しくもなくこなしている企業のプログラマを見て、子どもたちが憧れてくれるのかどうか。
一流の仕事をしている人は、子供が知っています。憧れるかどうかは、子供の本能のようなところで判断していると思います。
これは、我々IT関係者の、日頃の仕事ぶりが図られる機会となるのかもしれません。