「愛する子供たちと、自慢のお嫁さんの花江さんと、宝物の孫たちに囲まれて

 

なァァんにも悔いは・・・。」と最期の床に着いた、はるさんの気掛かりは

 

預かった戦災孤児の道男のことだった。

 

優しさを上手く表現出来ないで、行き違いから猪爪家を飛び出した道男を、

 

はるさんの、最期の願いだからと連れ戻すトラ子。

 

「道男君を捜して。」と言う花江にトラ子は、はるさんと見つめ合い

 

黙って頷き合う。無言のやり取りは秀逸だった。

 

猪爪家に戻った道男をはるさんは、ただ抱きしめる。ポンポンっと背中を優しく叩き

 

「これでいい。」道男は一生、このことを忘れないだろう。

 

「ばあちゃん死ぬのかよ。」の問いかけに「死ぬ。」と

 

はるさんは、無邪気に答える。

 

日記は恥ずかしいから絶対燃やしてと言う、はるさん。こういう美意識の感覚は、

 

今ではチョット分かり辛いかも知れない。でも 私も若い頃、良く耳にした。

 

(この後、トラ子と花江は言われた通りに 日記を燃やす。母を見送った経験のある

私ならば、取っといても良いかなあと思うけど、はるさんの意向を尊重するのも

また、愛情と礼儀と言う事だろう。)

 

後は任せたと言う はるさんに、花江はハイと答え、トラ子は「嫌だあああ!!」と

 

童女のように泣き叫んだ。

 

首を振るトラ子に「はいと、言いなさい。」と微笑む はるさん。

 

道男を寿司屋のおじちゃんが預かるというのも良い展開だった。はるさんの願いは

 

未来に繋がっている。

 

本当に、猪爪家の人達は素敵だったなあ。

 

若い頃から 石田ゆり子さんをずっと見てきて、色んな役のリリィーさんを

 

知っているけれど、はるさんは 本当に素晴らしかった。

 

おつかれさまでした。ありがとう、はるさん。

 

トラちゃんを、パパとお兄ちゃんと一緒に 見守ってね。