【母の味】の一つ、牛乳のスープ。

 

キャベツを千切りにして、豚の三枚肉と共にヒタヒタの水で軟らかくなるまで煮る。

 

そこへ、塩とバター。牛乳を少々。胡椒は入れないのがポイント。

 

母は旨味調味料【味の素】を入れていた。

 

牛乳のスープと言えども、色は大体「白湯スープ」くらいの感じ。

 

なんてことの無い、似たようなものはきっと誰もが作っているであろう、

 

普通のスープなのだが、本当に世界一美味いと思っていた。

 

母が若い頃、胃潰瘍になり年中お粥と白身魚の煮つけで凌いでいた時、

 

行きつけの洋食屋のマスターが ある時は、胡椒を入れてみたり、卵をいれて

 

みたり、白菜にしてみたりと試行錯誤し母に味見させつつ作った、謂わば

 

『裏メニュー』なのだ。

 

今ならば豆乳にするとか、むね肉にするとか やり方はあるだろうが

 

元は、昭和の中頃のお話。

 

これに、筋子のおにぎりと 鶏の唐揚げが私の理想の 最後の晩餐なのだが。

 

果たして、その時、それを食べられる元気があるのかどうか?

 

今も、昼用に作っているのだが、牛乳の量と味が中々うまく決まらない。

 

簡単なのに難しい、我が家の究極のメニューなのだ。