テレビのレコード大賞を見ていると、母から「お風呂に入っちゃいなさい。」
と言われて 布施 明を見てるのに、と思いながらお風呂に入ってくると母は忙しそうに
年越しそばの支度と、おせちの仕込みをしていた。家人がそれを手伝い、栗きんとん
の吹かしたサツマイモを裏ごししていた。
砂鉄みたいにトゲトゲになった おイモを3人で味見していると、ああ大晦日だなあと
思う。
母は大晦日まで集金をしてお歳暮を配っていた。買い出しをしていつ寝ているのかと
思うほど遅くまで起きて、黒豆、きんとん、煮しめを何種類もと、酢蓮、しめ鯖、
慈姑、数の子を漬け込み、刺身、雑煮の支度を整えていた。
元日に起きると、もう早くから重箱や今日だけ使う大事なお皿におせちが並べられて
いた。母は料理が得意だったから、商売で普段忙しくて出来ない分大切にしていたの
だろう。
関東風の澄んだ出汁に鯛と三つ葉が基本の雑煮だった。
クレイジーキャッツの ちょっとおしゃれなお笑い番組をみながら、誰も人が来ないの
は静かでいいなと思った。
お盆休みと正月以外は一年中誰かがやってくる。商店だから当たり前なのだが、
だからこそ僅かな休みを大事にしたかったのだろう。
今は、家人が毎年腕を奮ってくれる。今日も買い出しで出掛けている。
さあ、私も もう少し正月の設えをしなくては。