今回の Ryzen 7000 シリーズのCPUは、ご存じのようにCPUの焼損問題が起き、UEFI BIOSを急遽アップデートしています。

焼損の原因はEXPOによるメモリO.C.設定によってSoC電圧が規定を超えたための様ですが、これを超えない様な対策をアップデートで盛り込んでいるそうです。

自分で勝手にO.C.して壊したのなら大きな問題にはならなかったでしょうが、メーカも認めているメモリのEXPO O.C.で壊れたとなると、メーカサイドにも責任があり、対策のBIOSを急遽出してきています。しかし、今回の対応はAMD&マザボメーカ共に早かったなぁ...。おかげで今では沈静化していますね。

 

私がマザボを購入したのは問題発生前でしたので、当然古いBIOSのまま、このまま電源を入れて高価なCPUを焼損させるのもイヤだし、ASUSマザボの機能であるBIOS FlashBack を使ってCPU無通電でBIOSの書き換えを行うことにしました。

 

対策済みのBIOSはVer.1616以降で、ASUSのHPからダウンロードできます。

 

BIOS FlashBack で 付属の三角形の ROG STRIX HIVE を接続し、BIOSを書き換えている様子です。

 

HIVE とマザボ間のUSBケーブルは、マザボ側、HIVE側それぞれ接続先が決まっていますので、間違えて違うところに接続しないようにしましょう(後述)。

電源を接続し、PCをPowerONしない状態で書き換えることが出来ます。

手順はマニュアルに記載されていますので、その通りで問題ありませんでした。

試していませんが、CPUを乗せない状態でもおそらく書き換え可能と思います。

PowerONしなくても書き込めるので。

 

マニュアルの手順で書き換え完了、でてっきりBIOSが書き換わっていると思っていたのですが、FlashBackを実施後は単にデータをマザボ側に移しているだけで、電源ONの時に貯めたデータを実際に書き込む動作に入り本当に書き込む様です。このため、ON後にしばらく書き込みが完了するまで待つ必要があります。

これを認識していなかったため、電源ON時に水冷Pumpが回っていないことに気が付き(ケーブルの接続忘れ)、慌てて電源を書き込み中に強制OFFにし、BIOSを飛ばしてしまいました。で、起動すらしなくなって文鎮化(?)です。これは要注意です!

新しく組んだPCでは電源ON時に慌ててOFFする事が多々あるので、問題なくBIOS画面が立ち上がったのを確認して書き換えた方がいいでしょう。BIOSでO.C.設定にしない限りCPUが焼損する事はないでしょうからね。

飛んだBIOSは、再度FlashBackを行って、書き換えを行い、無事に立ち上がりました。あ~心臓によくない...。ひとまず良かった...。

 

三角形のROG STRIX HIVE に関する詳しい説明がマニュアルにも載っていませんでしたので、分かった範囲をアップしておきます。参考にしてください。

 

①:FLEX KEY

BIOS画面の3つの機能から選んで設定することが出来ます。

・Reset:

 マザボにあるリセットと同じ。接触して押してしまって突如リセットし

 ひどい目にあったので、お勧めしません。

・Aura On/Off:

 Aura LED の ON/OFFの切り替えに使える。

・Directkey:

 UEFI BIOS画面を呼び出すことが出来ます。

 Windows起動中に押すとシャットダウンし、次に電源を入れると

 UEFI BIOS画面が起動します。

 電源OFF中に押すと、PC起動し、UEFI BIOS画面で立ち上がります。

設定画面は下の写真の「Tool」項、「Flexkey」 部分です。

 

② :PBO

ASUSのマザボの機能である、Precision Boost Overdrive(PBO) のON/OFFを切り替えます。ONにするとボタンのLEDが点灯します(PCをOFFしても点灯したまま)。

この機能はマニュアルに書かれていますが、平たく言えばCPUの規定値を超えてマザボ側で更にクロックアップしてくれる機能です。

 この機能を使うには、BIOS画面でPrecision Boost Overdrive をAutoに設定する必要がある様です。場所は下の写真になります。

 

たしかにPBO ON状態でベンチマーク計測のCinebenchを走らせると CPUクロックがOFFの時より上がっており、Cinebench のスコアで見ると400ptsぐらいスコアが伸びます。PBO OFFの時よりもクロックが100MHzほど上がっていました。その分CPUの温度も上昇しますが...。CPUの温度が上がればクロック上昇分も低下してくる様ですので、PBOはCPUの冷却性能が高ければ効果が出そうです。

ちなみに、最新のマザボ付属のAI Suite3 でもPBOのON/OFFが切り替えられるようですが、AI SuiteでのONとHIVE でのONとで何が違うのかはっきりしません。

AI Suite でのONは下の画面になります。

AI Suite でONすると、上記のBIOSの設定が強制的に"Enhancement"に切り替わり、HIVE でのON/OFFは無効になり、常時PBO ON状態になる様です。

それぞれでONした時の Cinebench のスコアとCPUクロックを比べてみましたが、ほぼ同じで誤差範囲です。おそらくどちらでONしても同じ状態になるのだと思います。

 

③:BIOS

前述のBIOS FlashBackのスイッチ。

BIOSを書き込んだUSBを⑦に差し、このボタンを長押し⇒ボタンのLEDが点滅で書き込み⇒LED消灯で完了。

 

④:音声ボリューム

音量調整、押すとミュート。一度押すとずっとミュートしているわけではなく、違うアプリに切り替えると解除される。 ⇒ (最新のBIOS,ドライバで改善されています。押すとすべての状態でミュートします。またPC起動時の大きなノイズ音も ASUS HPに出ているHIVE Update Tool を適用することで改善されていました。)

このHIVEから出力される音声ジャック⑥からの音量調整だけではなく、モニタへのHDMI出力の音声も調節可能です。このマザボのオーディオドライバをインストールしないと使えないと思いますので音量調整ができない場合はインストールしてみて。

 

⑤:USB-typeC

付属のケーブルでHIVEとマザボを接続する専用ポートです。右側面にもtype-Cがありますので、間違えないように。コネクタ差込口に縁取りがあります。

マニュアルにも記載がありますが、通常のtype-C と違って差し込む向きがあり、type-C のコネクタに出っ張りがあり、逆向きには差さらないようになっています。なので、付属のケーブルを使用し、一般的な市販の type-A,type-C ケーブルは使わない方がよいでしょう。

ちなみにマザボ側も接続先が決まっていて、下の絵になります(マニュアルから)。

⑥:ヘッドフォン or ヘッドセット(左)、マイク or S/PDIF OUT(右)

ヘッドフォンやヘッドセットを接続するジャック。

マザボにオーディオコネクタがある他のマザボと同じように自動切換えです。

 

⑦:USB type-A, USB type-C コネクタ

通常の増設USBポートとして使えます。BIOS FlashBack をするときは、このUSB type-A にBIOSファイルを書き込んだメモリを差し込みます。

 

⑧:Q-LED

起動時の自己診断LED表示です。起動時に、

黄:メモリチェック ⇒ 赤:CPUチェック ⇒ 白:グラボ ⇒ 緑:ブートディバイス

の順に点灯し、正常であれば消灯します。

すべて正常であれば、4個のLEDがすべて消えた状態になります。順番にLEDを並べてくれればいいのに、赤と黄が点灯順が逆です。

 

今回組み込もうとしている NR200Pの PCケースには、マザボとグラボが同方向で並行して実装する方法としましたので、組み立てるとマザボがグラボに隠れて見ることが出来ず、この機能はトラブルシュートに大変助かります(NR200Pケースは従来のマザボとグラボが垂直になる組み方も可能です)。