はじめに — 公取委が日本郵便を調査
2026年2月、公正取引委員会(公取委)は、日本郵便がフリーランスとの取引において、いわゆる「フリーランス法」に違反している疑いがあるとして調査を始めたと伝えられました。これまでに本社・支社レベルで380件、約223人分の取引で、法律が義務付ける取引条件(業務内容、報酬、支払い期限など)の明示が行われていなかった事例が確認されています。
この件は、規模の大きさからも同法違反としては最大級のケースになる可能性が指摘されています。
📜 フリーランス法とは? — 何が新しいのか
2024年11月に施行された**「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」**、通称フリーランス法は、
👉 フリーランスとの取引で、契約条件を口約束だけにせず、書面やメール等で明示すること
👉 報酬支払いや条件を明確に示し、不当な扱いを防ぐこと
…などを義務化し、発注側と受注側の力関係の不均衡を是正することを目的としています。
これは単に慣習を規制するだけでなく、フリーランスとして仕事を請け負う人々を法律によって守る新しい仕組みなのです。
🏛 日本郵便は昔からあったのか?それとも民営化後?
日本郵便の歴史と立場
✔ 日本郵便はもともと政府の一部門として郵便事業を行っていた公的機関でした。
✔ 2007年に段階的な民営化が進み、現在は株式会社日本郵便として営業しています。
つまり、日本郵便が民営化されてから長年にわたり会社として運営されている存在であり、今回のフリーランス法違反の疑いも「民営の会社」としての取引に関するものです(民営化以前の公的機関だった時代には、この法律自体がありませんでした)。
⚖️ なぜ違法なのか? — 労働契約との違いも含めて
フリーランス法で問題となっているのは、単純な「契約の書き方」ではなく、法的に義務付けられた取引条件の明示義務を怠った点です。
1. 労働契約ではない
フリーランス契約は、労働契約と違い次の特徴があります:
✔ 指揮命令や勤務時間に縛られない
✔ 企業の従業員ではなく独立した事業者(事業主)として仕事をする
✔ 報酬形態や業務範囲は当事者同士の契約内容で決まる
そのため、労働基準法が直接適用されるわけではありませんが、契約内容が不明確だとフリーランスが不利になるという問題があります。
📌 フリーランス法の重要ポイント(違反になるケース)
以下のような行為が違法になり得ます:
🔹 契約内容(業務内容・報酬・支払い期限等)の明示がない
🔹 口約束のみで取引が進む
🔹 条項が曖昧でトラブルの温床になる
…など。こうした行為はフリーランス法違反として処分対象になります。
日本郵便の事例は、まさに契約条件の明示義務が守られていなかったことが多数確認されたケースです。
📊 人手不足・正規雇用 vs フリーランス — 価値観の多様化
働き方の多様化が進む中で、フリーランスという選択をする人と、正社員として安定性を求める人の間には大きな議論があります。
🟢 フリーランスのメリット
✔ 自由な働き方・時間管理
✔ 多様な仕事に挑戦できる
✔ 報酬交渉次第で収入アップも可能
🔴 フリーランスのデメリット
✔ 収入の安定性がない
✔ 社会保険など待遇が弱いことも
✔ 契約内容次第で不当な扱いを受けるリスクがある
👉 だからこそ、フリーランス法は発注側の透明性を高めて“弱い立場”の保護を目指しているのです。
一方で、日本は長らく「正社員至上主義」の文化があり、正規雇用を求める声も根強くあります。フリーランスという選択は社会に柔軟性を与える反面、自己責任や交渉能力が問われる現実もあります。
🧭 日本郵便の民営化と今回の問題
民営化以降、日本郵便は民間企業として利益追求や効率化を進めてきました。
しかし、社会的使命(ユニバーサルサービス)との両立や、人材確保の難しさが常に課題になっています。
今回のフリーランス法違反疑いは、民営化後に増えた外部委託の実務が、法令対応の仕組み整備と追いついていなかった現実を映しています。
🧠 まとめ:フリーランス法違反問題が示すもの
今回の日本郵便の件は、
📍 新法施行後の法の運用・周知が十分に行われていない可能性
📍 フリーランスと企業の関係性が依然として“慣習優先”だった現場の実態
📍 法令順守の仕組みを社内全体で整えることの重要性
…といった、社会全体の“働き方と契約のあり方の変革”を改めて浮き彫りにしています。
フリーランスという働き方自体は今後も拡大が予想され、法律による保護も進みます。
だからこそ、私たちは働く価値観を多角的に理解し、制度と現場のギャップを埋める努力を続ける必要があります。