・・・ブレイズは、大男の大剣の一撃を避けたつもりだったのだろう、が切っ先が脇腹を掠めた。
大男の能力もあってか、傷口は見た目よりも深く、ブレイズの脇腹を抉っている。
そして俺はおかっぱ女の爆撃を避けつつ能力を撃ち過ぎて満身創痍。
この状況・・・、この劣勢・・・、これでも唯一神は俺らでどうにかできる運命って言うのかよ・・・。
「なーんだ・・・、その子、威勢のわりにはあっけなく終わっちゃったねぇ」
おかっぱ女が破片を生成しつつそうこぼす。
「っく・・・、心配・・・しなくていいよ・・・out君。
止血ぐらいなら、私の能力でできるから・・・さ」
俺の隣で脇腹を押さえながら、ブレイズはそう言うと、『紅咆』の銃口をその傷口に当てた。
「・・・っふ!」
そして歯を食いしばると、『紅咆』は赤く、熱を帯びたように光りだした。
恐らく、その熱で傷口をふさごうとしているのだろう。
隣で肉を焼く音がする。
何故俺たちがこんな目に、何故ブレイズがここまで・・・。
「さっ・・・、これでまだ戦えるから、二人であいつらを倒そうよ・・・!ね・・・!?」
ブレイズは姿勢をただし、『紅咆』を構えると俺にそういった。
瞳は燃えるように光り、表情は未だ見ぬ世界を待ち望む子供のような笑顔をしながら。
本当は今すぐにでもやめてしまいたいはずなのに。
本当は今すぐにでも泣き出して逃げ去りたいはずなのに。
何故このような闘志が。
何故このような燃える闘志が。
この少女の心の奥底に燻っては彼女を突き動かすのだろうか。
なのに俺は。
俺は。
運命だの、神だの、自分はどうにかしようとしたのか?
この状況を自分の力でどうにかしようとしたのか?
そうだ。
俺はこんな傷だらけの少女に突き動かされている場合じゃない。
俺が、俺自身が、この子を守るんだ。
俺の全てをかけて!
「ブイレズは・・・、休んでていいよ・・・、俺が・・・、なんとかするからさ・・・」
右手をブレイズに、静止を促すように水平に伸ばし俺はそういった。
「・・・、out君?」
ブレイズの声が後ろで聞こえる。
あぁ、なんだ、俺にもあるじゃないか。
燃えるような闘志が、心を燻る闘志の火種が。
なんて心地いいんだろう。
体中をめぐる見えないエネルギーが俺の中を渦巻いては膨らんでいく。
さっきまではつききっていたと思っていたエネルギーが。
全てが無にかえる、俺の全てが再び俺の内部に渦巻いては膨張する。
俺が未だ見ぬ力が、この中に渦巻いているのなら。
使おう、俺ができることなら全て。
この子を、ブレイズを守るために!
頭の中に、初めて『白鶴』発動したときのように、言葉が流れてくる。
これが、俺の未だ見ぬ力なのか・・・。
さぁ、復唱しよう・・・!
―――――刻―――――
―――――印―――――
―――――解―――――
―――――除―――――
渦巻いては傍聴するエネルギーが爆発したかのように体外へ流れ出る。
やがてそれは何かの形を描いて、具現化される。
「刻印解除、『白鶴』弐式」
これが新しい能力の名前。
両手に小手のような、手につけられた刃も。
俺の周囲を雪のように舞うエネルギーも全て。
俺の大事な人たちを守るためにあるのだろう。
「・・・、な、なによあれ。形が変わったじゃない!」
おかっぱ女が信じられないと言った表情で仲間の大男に言う。
「・・・聞いたことがある。
限られた能力者だけが使えると言う刻印解除。
能力がより強力に変化するものだ」
大男は口調を変えずにおかっぱ女に説明する。
「み、認めないわ、そんなの認めない!!」
おかっぱ女は先ほど生成した破片を自分の前方に集中させた。
「『紅羽』龍!」
そしておかっぱ女がそう言うと、破片はひとつにまとまり、まるで龍のような形を作り、一本の槍のように俺に向かってくる。
全てがゆっくりに見える。
この不思議な感覚は何だろう。
龍のような形をした破片の集合体も。
破片一つ一つを性格に判断できるくらいに、止まったかのように見える。
その一つ一つを正確に、俺の周囲を舞うエネルギーを弾丸のようにして飛ばし、狙う。
破片は一つ一つ弾き消え、見事にできていた龍の形は、先端の方から崩れていった。
そして俺は崩れていく龍を掻き分け、相手との間合いを一気に詰める。
体が軽い、体重そのものを感じさせていないようだ。
恐らく、おかっぱ女と大男は直前まで俺がそこに来ていることに気づいていないだろう。
俺は二人にめがけ、両手の刃を振り上げた。
いつか少しだけ解説をします。
寝ます。
眠い。
うんおやすー
んじゃまた。