紅の破片が自分のほうに向かって飛んでくる。


だが、それも無駄だ、もう一度打ち消してやるさ!


「あんた忘れてない?私の能力が『紅羽』だと言うことを・・・」


・・・、しまった!おかっぱ女はまだ具現化しただけで能力を使っていない!


「これでイーブンだと思うなんて百年早いわよ!爆ぜろ!『紅羽』!」


っく、矢が間に合わない!避けるしか・・・!


後ろへ跳べたかどうかの刹那、前方にあった無数の破片達はそれぞれが紅く光り、全てが爆発した。


恐らく、俺の判断がもう少し遅ければあの爆発に巻き込まれていただろう・・・。


燃焼系の紅だけあって、能力は爆破か・・・。


「私の能力を、舐めないでよね?」


おかっぱ女は再び手を水平にかざすと、先ほどの爆発する破片をもう一度生成した。


本当にこれで守るのが精一杯になったか・・・。


横の方ではブレイズとあの大男が戦っている。


「いけいけいけいけいけいけいけいけいけ!!!」


ブレイズは大男に向けて弾丸を飛ばし続ける。


そして大男はそれを自らの大剣を盾の様に使い、防いでいる。


「ちょっと!防ぐな!卑怯だよ!」


全然卑怯ではない。


「・・・ふん!」


突如大男は、そのなりから信じられないほど跳躍し、ブレイズの方へ向かっていく。


「粉砕せよ!『翠龍』!」


そしてブレイズのほぼ真上から大剣を振り下ろす。


「うううわっとっ!」


寸でのところで横に転がり避け、ブレイズが一瞬前までいた所に大男の大剣が振り下ろさせる。


地面との衝撃音が、まるで地鳴りのように足の裏に響いてくる。


「・・・うわぁ、洒落にならない・・・」


ブレイズが率直な感想をこぼす。


大剣が振り下ろされた地面は、その衝撃でヒビが入っている。


大男は地面めり込んだ大剣を引き抜くと、再びブレイズに大剣を向けた。


「なるほど~・・・、君の能力は純粋な肉体強化ってことかぁー、尖っているねぇ・・・」


ブレイズの言うとおり、大男の能力は極端なほどに純粋な肉体強化だった。


極端だったら極端なほど対応力はないが、強さは無類である。


「余所見してんじゃないよ!」


おかっぱ女のほうへ目をやると、破片がもう直前まで来ていた。


「くそっ!撃ち抜く!『白鶴』!」


そしておかっぱ女のこれまた極端といえる絶え間のない遠距離攻撃。


この二人は互いに互いの弱点を補っている。


いいペアだな、俺とブレイズと違って。


―――――――――――――――――――


「行くわよ!Noel!」


水と電気ッ!この世にこれほど相性のいいものはあるだろうかッ!


「う、うん!わかった!『水鞭』!」


Noelも察してくれたのだろうか、先に攻撃を仕掛けてくれる。


Noelが『水鞭』を色白男と切れ目に向ける。


鞭はまっすぐに二人のほうに伸び、ることはなく、二人に対してやや上へ伸びる。


「『水鞭』、解除!」


Noelの声にあわせて、それまで鞭の形をしていた水が、途端にただの水になり、その場に飛び散る。


あぁそうよ、これを待っていた!


「よし!『黄閃』!雷豪!」


次ぎに向ける雷は、前の槍雷とは違い、広範囲の雷だ。


水の効果もあって、威力は跳ね上がるはず・・・!


「しかし、当たらなければ意味がねぇ!吹き飛ばせ!『紫扇』!」


・・・!あの鉄扇!


切れ目の男が両の手に持つ鉄扇を振るうと、先ほどまで空中に飛んでいた水分は全て、


吹 き 飛 ば さ れ た !


だ、だけど私の雷豪はまだ発動してない!素の威力でも十分!


『黄閃』の穂先から放出された雷は二人に向かって拡散した。


・・・が、何かがおかしい、明らかに二人より手前が終点であるように、雷豪は拡散し終えた!


!!


まさか・・・。


「あぁ、電気は伝導のいい方へ向かい、そこで全てを使い切ったさ」


色白男がそう言うとおり、あの水が、攻撃のきっかけだった水が、向こうの盾となったというの・・・!


だけど大体わかった、あの切れ目男の能力。


あれは恐らく『反射』、ただ風を起こしたわけじゃあないわ。


「じゃ、次はこっちの番だな、頼んだ」


「えっ!?俺!?」


「お前以外に誰がいんだよ、俺は防御の要、お前は攻撃の要だって言っただろうが」


「確かに、よし、ゆくぞ」


色白男は会話を終え、朱色の刀を構える。


それを見て、私とNoelもそれぞれの得物を構える。


仕掛けたのは―――――――――色白男だった。


刀振るのと同時にこちらに体重をかけてくる。


慌てて『黄閃』でそれを防ぐ。


色白男の斬撃は恐ろしく早く、重く響く。


二の手、三の手と、次々に朱色の刀が、朱色の残像を残して振られていく。


ふふん、でもね。


「速いだけじゃこっちもやられないわよ!」


防いだ斬撃を『黄閃』で払いのける。


色白男はひとつバックステップをし、槍の間合いから離れた。


「速いだけか。それはどうだか・・・」


そう言うと、再び間合いを詰めてくる。


「無駄無駄ァ!」


今度は防ぐわけじゃない、向こうの斬撃にあわせてこちらも槍を振るう。


何合打ち合っただろうか、相変わらず斬撃は速く、重く響く。


「そろそろかな、響け!『朱響』!」


なっ!?ここで能力を発動させてきた!!


慌てて間合いを取る。


今度はむこうの刀の間合いの外まで。


「だめだだめ、俺の音は確かにそれに響いている・・・」


向こうの最後の一撃、それの振動がまだ槍に響いている。


・・・いや、むしろじょじょに増幅していっている。


まさか!


「『朱響』波動共鳴」


手に持っている『黄閃』にヒビが入っていってる、そのヒビは振動にあわせ、亀裂を深める。


そして、ピシッ、と言う音とともに『黄閃』は粉々に崩れ落ちた。


遅かった、色白男の刀と打ち合っていた既にあの時、私の『黄閃』はあいつの能力の対象になっていたのね・・・。


でもまた具現化すれば・・・!


「させない!」


色白男が刀を構え再び向かってくる、駄目だ、素手では防ぎようもない・・・。


「『水鞭』!」


Noelの声とともに私と色白男の間に鞭が割ってはいる。


「ま、まだ私がいるから、TERUちゃんは早く具現化を!」


・・・、素で忘れてた。


―――――――――――――――――――


グラサン女が止めた灰の矢にグラサン女が衝撃を加える。


もちろん、先生のほうに。


「『白空』解除」


グラサン女が能力を解除した瞬間、灰の矢は力が加わった方向、すなわち、先生のほうに飛んでいく。


「仕方がないねん。相殺するねん」


先生はすぐさま弓を構え矢を放つ。


狙いは正確で、こちらに向かってくる灰の矢へまっすぐ放たれる。


そして衝突、矢は互いを蝕みながら消えていった。


「あら、うまいのね」


「それほどでもないねん」


・・・これ大丈夫なのか?


物質固定に対して放出系とか、相性ゲー過ぎる。


「でもどんな能力にも弱点はあるねん、ただそれを見つけるだけやねん」


これ俺に向かっていってんのか、弱点とかわりとすぐに見つかったんだが・・・。


一方そのころ、味さんとおっさんの勝負はというと。


「うほうほうほうほうほうほうほうほうほうほうほうほっ!!!!!!!」


「うらうらうらうらうらうらうらうらうらうらうらうらぁ!!!!!!!」


物凄い打ち合いになっていた。


と言うか味さん、斧を拳で受けるのは凄いです。


ちなみにさっき判明したおっさんの能力。


簡単に言うと、斧で傷つけた質量のある物質に質量を追加する能力。


つまり、ちょっとした重力、って言うことだ。


でも、これは味さんによっていとも簡単に看破された。


なぜなら、味さんの能力は鎧の無限修復。


重くなろうがなんだろうが、再びその傷を修復しただけだ。


その傷が能力発動のキーだった、と言うわけだ。


と言うわけで、今はどちらも力勝負と言うことになっている。


さて、先生を助けてやるとするか・・・。


――――――――――――――――――


「ひぃ!ここここ降参です!降参ですってばぁ!!」


「本 当 だ な ?」


「ほ、本当ですって!だからその剣を降ろしてください・・・!」


「だめだ、聞きたいことがいくつかある」


「そ、そんなぁ・・・、喋りますから!喋りますから!」


「じゃ、まず目的ね」


「・・・、味付海苔の捕獲です、生存していればなにしてもいいと・・・」


「他にも仲間は?」


「ふふ二人ペアの四チームです」


「そのなかのリーダー格は?」


「おおおおそらく、味付海苔の方へ向かったと・・・」


「じゃあ、誰からの依頼・・・?」


「そ、それは・・・」


「ふーん・・・、『蒼双』」


「ひぃ!ままままってください!そ、それだけは・・・!」


「なぁ、言うことの聞かない犬はどうしたらいいんだ?」


「俺のペットにでもすればいいと思うよ」


「もういいじゃないですか、消しちゃいましょうよ」


「ひぃっ!!そんなぁ!!」


お母様、今の若者は怖いです。


長くなってしまった。



まぁいいや。



シルバーウィークとやら寸前。


まぁいいや。



眠いし。


寝よう。


んじゃまた。