でももしかしたらそれは人は誰しも持っているものかもしれない。
ただ単に、それに気づく事が嫌で避けているのかもしれない。
僕には、近々死ぬ人がわかる力があった。
最初はなんとなくだった、よく僕をかわいがってくれた祖母が死んだ。
その祖母は、他の人とは違う、異臭が微かに漂っていた。
しかし、日が経つにつれ、それは微かというものではなくなっていた。
日に日に強くなっていく臭い、すこし悲しく、すこし優しく、ただ時折、心を深く抉る様な。
そして、祖母の死ぬ直前、臭いはより強くなり、とてつもなく悲しくなり、僕は死を理解した。
祖母がこの世を離れると同時に、スッと臭いは消えた。
そのときはまだ、それが死の臭いだということはわからなかった。
しかし、祖父、叔父、近所の老夫婦、回を重ねるごとに段々とわかってきた。
そしてとたんに悲しくなった、激しい自己嫌悪に駆られた。
人が死ぬことがわかっているのに、何日前からわかってるのに。
寿命じゃなくても、病気じゃなくても、死ぬことはわかっていたのに。
何も出来ない自分がいたことが、とてつもなく、腹立たしかった。
その心が次第に、僕をその力から遠ざけていったのかもしれない。
僕の周りから死の臭いは遠ざかった。
とても心地よい安らぎの風が、僕の心を通り過ぎていった。
しかし、ある日、再びあの臭いが僕の心を揺さぶり始めた。
だが、今度はその発生源が誰かからなのかが、毛頭、見当つかなかった。
今度こそは防ぎたい、もう自分の周りで、人が死ぬのはたくさんだ。
けれども、それが誰なのかがわからない。
多大な不安と、自分の不満が心を埋め尽くし始めるのと、死の臭いが強くなるのは同等の速度だった。
日に日に自分があせっていくのと、疲れているのがわかり始めた。
そして、何度も経験したあの瞬間、人が死ぬ直前に発する最も強い臭い。
それが僕の体を、心を、全てを、悲しみと絶望で満たした。
どうしようもなかった、今はただ、悲しい、悲しい、悲しい、悲しい、悲しい悲しい悲しいかなしいかなしいかなしいかなしいかなしい。
こんな力、こんな僕なんか必要なかったに違いない。
そうだ、違いない。
そうして僕は、その悲しみから逃れれる唯一の方法を見つけ出し、然るべき行動を取った。
やがて全てのしがらみから解放された。
同時に死の臭いはスッと消えた。
そんなことよりも、県体まであと一週間切りましたね。
課題がようやく終わりました。
あ。
数学終わってない。
まぁ、いいや。
疲れたし。
んじゃまた。