見ようとしても見えないものや、考えた末にも出ない考え、そして結果に決してたどり着く事の出来ない過程。


そんなどうでもいいようなこと、実際にはありえないことでさえも、今ここに関わっている事もないわけではない。


確かにそこにそれらはあるのかも知れないが、やはり、それらは気にかけなかったらいつまでたっても気づかないものであろう。


見ようとするから見え始め、考えようとするから浮かび上がり、結果に向かおうとするから近づく。


そんな矛盾したことも、現実に起こりうる事である事を、俺はこの年になって悟ったのかもしれない。


唯一つ、どうしても自分の気持ちには、どうしてもたどり着かず、見えずにいた。


そう、それは自分が自分を蔑ろにしてきた結果にたどり着いた事であるのは、そんな俺でも理解できた。


今、自分はどう思っているだろう。


恐怖、歓喜、悲哀、憤怒。


この不可思議な世界に迷い込んでしまった俺は、どう思っているだろう。


元の世界では絶対に見えなかった、考えなかった、たどり着かなかったこの世界。


だが、見えてしまった、認識してしまった、たどり着いてしまった今、ここから抜け出す術は俺にあるのだろうか。


そんな事は、誰にも分からない、誰にも。


明日の行方も分からぬ今の俺には、自分の思いと同様に、何も理解できる事は出来なかった。


今出来る事があるとするのなら、それは唯一つ。


“不可思議な世界から抜け出す術”と言う真実にひたすら向かうことだろう、いや、それしか出来ない。


俺がそれ自体を認識する事が出来るまで。