ひさしぶりに、読書をしました。
元々本を読むのは大好きで、小さい頃は本ばかり読んでいて、
自分の好きなジャンルばっかり読んでるから「本好き」と大きな声で言うのは憚られるけども。
でも読んできた本やそこから受けた影響や思想はすべて今のわたしをかたちづくり支えていると思う。
そんなわたしは、よしもとばななさんの書く小説が大好きで、
その世界観というか出てくる一人一人の性格、考え方、起こる出来事、そこからその人が得るものとか、
すべてが心にしみわたってきて、読み終わったあとにぼーっとして、今の自分を噛みしめる。
わたしはドラマティックすぎる話がそんなにすきではなくて、
映画とかでも大々的に宣伝されて大物俳優が出てるお金かかったやつよりも、
TSUTAYAとかで棚のすみっこに2,3本ならんで誰も注目してないけど知っているひとは知っているみたいなB級映画の方が好き。
それがものすごくつまんなくても別にいい。
そこから自分が何を受け取るのか、何を感じてどんなことに感動するのかを確かめたい。
そのときの自分の状態や気持ちにぴたりと当てはまった映画を選べた時はすごい幸せ。
だから「今日は映画みるぞ!」って決めてTSUTAYA行ってあれでもないこれでもないと2時間くらい店内うろうろして結局どれもぴんとこなくて結局なにも借りずに帰るとかよくある。
話それた。
とにかく。よしもとばななさんの小説を読むと「あーこれこれ。これを求めていたんだ。」って気持ちになるんですが、
なんかあまりにもわたしの表現力が乏しすぎてすごくわかりにくいですが。
わたしが日常の中で感じている事、朝起きて浴びる光の気持ちよさとか、夜のあの不思議な濃密さや何もないのに感じるさみしさとか、家族のあったかさやそれゆえの複雑、色々なせつなさ。
普段言葉にもしない(できない)ようなこと、ただ体で、心で「感じて」いるだけのことをこれ以上ないくらいの言葉で表現してくる。
「あーあの時あたしが感じてたものって言葉にするとこうなるんだ」って何とも言えない不思議な衝撃を受ける。いつも。
よしもとばななさんが信じている何か大きな力というか、ことばや心や自然の不思議なちからの存在をあたしもすごく信じているんだな、とわかる。
また話それた。
とにかく。今日よんだのは「デッドエンドの思い出」という短編集で、(もちろんよしもとばななさんの)
あとがきを読んだら「つらく切ないラブストーリーばかり」と書いてあったけれど。
わたしがこれを買ったのは高校のときで、なんか読みたい気分、と思ってお父さんと本屋に行って、「なんか欲しいのあったら買ってあげる」と言われてさんざん色んな本立ち読みしててこれにビビッときたからか、表紙の不思議な可愛さに後押しされたのか。
そこで初めてばななさんの(略しちゃった)世界観に触れて一気にハマった。
そんなキッカケとなった本。
そのときのあたしがこの本の中で一番「いい!」と思った話は1話目の「幽霊の家」という話。
大学生のおとこのことおんなのこの、ちょっとせつなくて、けどほっこりして幸せなあったかい話。
当時たぶんあたしは恋をしていて、自分のことにいっしょうけんめいで、青くて、
だからこそ、このふたりのこの雰囲気にきゅーんとして、ちょっとエッチなシーンにどきどきして、
意識はしてなくてもその話にはその時の自分が望むものがあったんだろうと今思う。
そして今日、久しぶりにこの本が読みたくなって、読んでて衝撃を受けた。
この本の最後の「デッドエンドの思い出」という話の内容があまりにも今の自分にリンクしていたから。
その話は、やはりせつない失恋の話で、ってか、せつないというよりは苦しいというか、痛いというか…。
なんかそのおんなのことあたし自体はそんな似ていないんだけど、
別れのそのかんじとか…恋が終わる前の状態とか…終わって思うこととか…やばい超わかる…わかりすぎる。。
みたいなかんじで衝撃を受けながら
けど不思議なのは、もう何回も読んだことあるし内容を全然覚えてなかったわけじゃないのに、こんなにも状況が似てることに今まで全く気付かなかったこと。
ちなみにあたしが今年別れたその人は、この本を買った時にあたしが恋してたまさにその相手で、
超ー好きで好きで大好きでやっと付き合えた初めてできた彼氏で、
大学は東京と隣の県とビミョウに離れたけどその4年間も乗り越えて、
卒業してお互い地元に帰ってきて、なんとなーく周りもこのままいったら結婚だと思ってた風な。
それでも別れたけど
あたしの場合は、本の彼女と違って婚約とかそんな具体的ではなかったし、最後も自分から言って終わらせたし、唯一の救いとして第三者に女性とか出てこなかったけど。
けど相手が何思ってるか全然わかんないまま連絡絶たれるのって、すごくつらいんだ。
自分の気持ちをどこに持ってけばわかんなくて宙ぶらりんのまま過ごす日々はすごくくるしかった。
相手も色々悩んでたのかもしれないけども。
そんなことも想像できなくなっちゃうくらいに不安でいっぱいいっぱいになっちゃって、
もう期待したくないから最悪のことしか考えられなくなっちゃって、
で、どんどんすれちがってくんだよね。
まぁあの時のあたしは必死だったし今考えてもあれがあたしのできる精一杯だったとおもうから、もうどうすればよかったとか考えるのやめたけど。
とにかく。
この話の中には西山君っていうとても大事な大事な人物がでてくるんだけど、
それが彼女がだんだんその別れを消化していくにあたってすごい大事な存在になるんだけど、
またちょっと状況がにてるぶんその西山君のことばのひとつひとつが響く響く。
残念ながらあたし自身には西山君みたいな存在はいないけど、
でもひとりでどうにかこうにか乗り越えたあの日々とか考えたこととか
自分の決断とかも「あー良かったんだ」っておもえるような。
なんかゆるされたような。
正直、高校生のとき最初にこの話を読んだ時は一番ピンとこなかった。
失恋も別れも知らなかったんだから当たり前だよね。
本って、何度読んでもその時の自分の状態や思想によって自分が感じるものがちがう。
前読んだときは何も感じなかったひとつのセリフとかにすごく心動かされたりする。
そこが好きなんだよね。
小さい頃に読んだ本とかも、大きくなって読み返したりすると、その頃はよくいみわかんないなーと思ってたことがすとんと伝わったり
案外それがものすごく深かったり
そうやって自分の成長を確認してきた気がする。
特に小説とかは、自分ができる解釈の振り幅がものすごく広いから、
特によしもとばななさんの小説はすべてがそんなかんじだから、
読み終わってしんみりするあのかんじをただ味わいたくて、何度も何度も読んでしまう。
今回も、高校のときやそのあとも、何度読んでもあまりピンと来ることのなかったこの話に一番心動かされたのは、
実際に失恋を経験したからこそで、
それによってまた一歩大人の階段昇ったってことなんだろうなー。
今はまだまだ考えたくないことも目を逸らしてることもたくさんあるけども、
またあんなに人を好きになれるとは到底思えないけども、
引きずってはない。
今年は今まで生きてきた中でいちばんどん底だったけど、
それでも幸せだった。
『その時の設定や状況とは全く関係なく、無慈悲なくらいに無関係に、幸せというものは急に訪れる。どんな状況にあろうと、誰といようと。
ただ、予測することだけが、できないのだ。』
(「デッドエンドの思い出」より)
あーまた夜が明けた。。
(title:透き通る衝動/ねごと)