「”支配”と言ったな・・・それがお前の能力か!!」

 

黒いのが、笑みを浮かべるように叫んだ。

 

「どうだろうな」

ーさて、久しぶりの戦いだー

 

「その力、いただくぞ!!!!!」

 

ドッ!

空気を蹴るように飛び、飛んできた。

そのまま、腕に何かを纏いそれを雨月にぶつける

 

「・・・」

ーこれは・・・-

 

雨月の腕は凍っていた。

 

「今、纏っていたのは冷気だ! 俺が奪った能力は50を超える!

お前の能力を手に入れれば、もっとその領域を増やせる!」

 

「へぇ・・・・」

 

フッ

 

「消えた!?」

 

いや、消えたわけじゃない。

実質、人が消えることは不可能。

『消えたように見える』ことくらいしかできないのだ。

 

雨月は黒いのの真後ろにいて

そのまま飛び蹴りをくらわせた。

 

「ぐぁお!?」

ーなんだ!?-

 

「別に、能力を使わなくても戦うことはできるんだよ。

それに君は何か勘違いしている」

 

「・・・・・・?」

 

「俺は一言も能力のことを明かしてはいない。」

 

「支配と言っただろう!」

 

「それはほんの一部さ。それに、たとえそれが能力であったとして

君は”支配”を”支配”できるのか?それは、無理だ。

たとえいくつもの能力を携えたとしてそれを使いこなせないようじゃ

支配を手に入れたところで自ら力に飲み込まれる。」

 

「何が言いたい!」

 

「見せてあげるよ。 能力の”一部”を」

 

雨月は人差し指を立てると、

黒い奴の体から何かが出てきた。

 

おそらく、能力のオーラのようなものだ。

 

「へぇ、けっこう奪ったんだ」

 

「・・・なんだこれは!」

 

「何を言っているんだ。能力だよ」

 

「能力が眼に見えるわけが無い! 使用してもいないというのに!」

 

「だから、君は使いこなせていないんだ。

うん、まぁ、拘束すればいいしよし、『分析』を終了し

『支配』により鎖で君を捕縛」

 

ガシャァァン!!!!!!!

 


一瞬の出来事だった。

雨月の口調からして恐らく、

『分析』も『支配』も能力の一部でしかないのだろう。

持ち主の能力である鎖を

支配によって持ち主を捕縛し身動きをできなくするほどなのだから。 

 

「ご苦労様です」

 

「・・・・で、どうすんだい?」

 

「彼は、犯罪者です。それなりの処罰をします。

それに、被害者の方の能力は戻ることはありませんが、

生まれ持ってのものですし、回復するはずです」

 

「なるほど」

 

「久しぶりの実戦どうでした?」

 

「・・・・・まさか、これを狙ってたのかい?」

 

「少しですが。」

 

「・・・・まぁまぁかな。」 

 

「あなたほどの方があのような職業はどうかと思います。

戦ってはくれないのですか?」

 

「私は、兵隊じゃない。たとえこの能力があっても

私は私でありたい」

 

「そうですか・・・・・とりあえず、ありがとうございました」

「んで? 犯人を捜して、どうするんです?」

 

「捕まえるに決まっている」

 

「捕まえて・・・?」

 

「犯人の”能力”をある程度、奪います」

 

「それじゃぁ、犯人がしていることとなんら変わりないんじゃない?」

 

「・・・・すくなくとも、その力を利用するつもりはありません」

 

「まぁ、いいさ。 探しておいてあげる」

 

それだけを言ってのけると、2人を帰した。

この世界観では、能力だとかそういうのは当たり前と言っても

おかしくは無い。

それに、使いようによっては能力を奪うのは簡単なことだ。

 

・・・柊家屋敷・・・


「お嬢様、なぜ、あのものに?」

 

「彼の能力を知らないの?」

 

「・・・・・?」

 

「まぁ、あの人は能力を他人に見せたりはしないけど・・・

おそらく、この世界観で一番強い能力を持ってる」

 

「!?」

 

「彼の能力は、私もはっきりと見たことは無いのだけれど・・・

どのみち、彼の力を借りなきゃ解決しないの」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

雨月は、自室のパソコンをいじり、ソファに腰掛けていた。

 現時刻は、PM23:00


「さて・・・・と、そろそろかな」

 

雨月は、コートを手に取り、店を出た。

向かっていたのは、人気の無い道

そこに、何かがいた。

 

「や・・・こ、来ないで・・・!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「いやぁっ!」

 

「・・・・・・・・・」

 

女子高生だろうか。

制服を着た少女が何かに追われて、迫られていた。

”何か”は黒いものを身にまとっていて、顔すらも見えない。

 

その黒い何かが少女に触れようとしたとき・・・

 

「はぃ、見つけた」

 

雨月が少女に触れようとした何かに触れた。

すると、雨月のほうを向き、攻撃をしかけてきた。

 

「ギギギ・・・・・・・」

 

「・・っと。危ない危ない」

 

「邪魔を・・・するな・・・」

 

「君は、理性を失っているのかい?」

 

「笑わせるな・・・理性ならアル」

 

「名前は?」

 

「・・・・そんなものはない」

 

「・・・・そこの女子高生(?)。もう帰りなさい」

 

「え・・・あ、はぃ」

 

少女を逃がし2人きりになった。

すると、余計にその黒いのが殺意を放っていた

 

「君の能力は何かな?」

 

「知ってどうする?」

 

「さぁ・・・”支配”しちゃおうかな」

 

「舐めるな!!」

 

叫びと同時に黒いのは、眼を赤く光らせ

腕を振り下ろした。

とたんに、強風が吹いた。

いや、物体が切り裂かれていたのだからこの場合、

”鎌居たち”が正しいだろうか。

 

「・・・・わぉ」

「いや、だからさ、オッドアイなわけでしょ?」

 

「貴様、お嬢様は生まれつきこの眼だ!

これ以上、侮辱すれば命を奪うぞ!」

 

「君には無理だよ」 

 

雨月は、男にさわやかな笑顔をして答えた。

 

「レイ、やめて」

 

「ですが、お嬢様・・・」

 

「厨二病ではありませんが、そういうものには興味はあります。」

 

「なるほど。 まぁ、とりあえず自己紹介をしてくれるかい?」

 

「はぃ。 私の名は”ミライ”。 柊家の跡継ぎです。」

 

柊家・・・代々、この街を守護してきたといわれる5つの護身家のひとつ。

     能力が存在するこの街では、”枷”をつける役割をしている。

     なお、会社も経営しているため、財閥といえるほどの財産を持つ。

 

「能力は、『吸血』(ヴァンパイア)です。 ただ、見てのとおり

私は、片眼だけ色が違います。そのために、能力はさほど強くありません。

というか、『操作』(コントロール)の能力が邪魔するので普通の人と同じと

言ってもいいです」

 

「なるほどね。で、そこの”鬼”は?」

 

「!!!」

 

「誰がどんな、能力か。どんな、血を引いているかなんて知っているよ。

見たときからね」

 

「ちっ、俺の名前は”レイ”。お嬢様にお使えする執事だ。

能力と言うか、”鬼”の血を引いている」

 

「ふんふん。で、用件は?」

 

「はぃ、探して欲しいものがあります。」

 

「君の下着かい?」

 

「いえ、それは自分で見つけました」

 

この発言で雨月とレイは一瞬驚いた顔をした。

まぁ、『なくしたんだ』というようなことを

思ったのだけれど。

 

「最近、町民の能力が奪われるという事件が

多発しているんです。」

 

「その犯人を捜して欲しい」

 

「能力を”奪う”・・・・ね」

 

「ご存知なんですか?」

 

「いや、奪うこと自体は簡単なんだよ。

実際、お嬢ちゃんの能力、『吸血』と『操作』を

『吸血した相手の能力を操る』とかいうふうに

することだって、可能だからね」

 

「・・・・!」