ムーンストーン。
月長石。
「オーソクレース(正長石)を主体とするもので、そこにアルバイト(曹長石)種の長石を多数薄く胚胎しているタイプのもの」と、手持ちの「天然石エンサイクロペディア(飯田孝一／著・亥辰舎 2011年刊)」には書いてあるのですが、理系じゃないアタマですのでイマイチどころかイマジュウくらいわかりません。
この「ムーンストーン」という表現は相当難しいというかややこしいのです。
ムーンストーンという言葉から想像するのは青い光を持った白い石。
…なのですが。
実はムーンストーンは「この石種」というものではなく。
アデュラレッセンスという効果を持ったアルカリ長石種のこと。
オーソクレースの主成分はカリウム。
アルバイトの主成分はナトリウム。
この二つの成分もしくはどちらかを含む長石をアルカリ長石というそうです。
その石種の中で、ふんわり青だったり白だったりのシラー効果のある子をムーンストーンと言っている、と。
そもそも「長石の種類はたっくさんあって、成分と構造の違いによって違うのさ！」という時点で大混乱なのですがね。
ここで更に混乱する事態が。
天然石のお店に行くと「レインボームーンストーン」とかいうお名前で売られている石があるわけです。
しかし、其奴は流通上のお名前さま。
ナトリウムが主成分のアルバイトと、カルシウムが主成分のアノーサイト。
この二つの成分を含む石が斜長石種。
前出の本によると、
「アノーサイト(灰長石)からアルバイト(曹長石)の双方を端成分にもつ長石種どうしの固溶体である」とのこと。斜長石種の代表的な石がラブラドライトこと曹灰長石。
その中でも、青色が際立つ虹色レインボーのラブラドレッセンスがキレーに出ている白い石を、
「レインボームーンストーン」と言葉巧みに表現して販売なさっている、というのが真相。
青とか白のシラー効果が売りなのに、虹色レインボーとはこれいかにというツッコミも入れたいところですが。
ストレートに、ホワイトラブラドライトとかペリステライトじゃあかんのか。
「だって。みんな長石ファミリーだもの」とか言われると身も蓋もないのですが。
ラブラドライトとムーンストーンは長石種とはいえ厳密には違う石だったりするわけですから。
…別にいいんですけどね。
ラブラドライトも白ラブも好きだもの。アンデシンも大好きだもの。
ただ。
占いとはいえ。
ムーンストーンという結果に。
一体どの石のことなんだい？？
…と。
ちょっといちゃもんを付けたくなっただけさ、という、ひねくれ者でございました、というお話。
追記という名の備忘録
【アデュラレッセンス】
オーソクレースとアルバイトの層が交互に重なった構造による光の散乱。ムーンストーンの内部で光があらゆる方向に分散し、薄い層であればレイリー散乱で青色、そうでない場合はミー散乱で白色を呈する。ムーンストーン特有の特殊効果。
【ラブラドレッセンス】
アルバイトとアノーサイトの層が交互に重なったラブラドライトの組織構造による光の回折。ラブラドライト特有の特殊効果。認識できる色は層の薄さと光の屈折率による。
