河出書房新社から出ている、文 湯本香樹実、絵 酒井駒子の「くまとやまねこ」
この本はこんな風に始まります。
「ある朝、くまは ないていました。
なかよしの ことりが、しんでしまったのです。
くまは森の木をきって、小さな箱をつくりました。木の実のしるで
箱をきれいな色にそめ、なかに花びらをしきつめました。
それから、くまはことりをそっと、箱のなかにいれました。」
この本は*「喪の作業」の物語です。
なかよしの小鳥を亡くして、悲しみで心を閉ざしてしまったくまが、やまねことの出会いで、「くまとことりはずっとずっとともだちなんだ」と気がつき、新たな世界へと歩んでいきます。
遺された者にとって「弔う」こと「亡くなったものを偲ぶ」ことの大切さに気付かされました。
みなさんは、この本を読んで、どんな感想を持たれるでしょうか?
*「喪の作業」
大切な親しい関係の人を何らかのことで失った場合、残された人が一般的にたどる過程。精神分析学者ジョン・ボウルビィは以下の4段階にまとめた。
第1段階: 無感覚・情緒危機の段階
死後1週間程度続く無感覚の段階。一種の急性のストレス反応。激しい衝撃に茫然としてしまい、死を現実として受け止めることができない。
第2段階: 思慕と探求・怒りと否認の段階
喪失を事実として受け止め始め、強い思慕の情に悩まされ深い悲嘆が始まる。他方、喪失を充分には認めることができず、強い愛着が続いている段階。この時期には喪失に対する責任を巡り、怒りや抗議も見られる。
第3段階: 断念・絶望の段階
喪失の現実が受け入れられ、愛着は断念される。それまで故人との関係を前提に成立していた心の在り方・生活が意味を失い、絶望、失意、抑うつ状態が大きくなる。
第4段階: 離脱・再建の段階
故人の思い出が穏やかで肯定的なものとなり、新しい人間関係や環境の中で、死別者の心と社会的役割の再建の努力が始まる。
HUMAN FRONTIER EAP用語集Glossaryより
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