喉が詰まり視線が定まらなかった。
殆どなにが書いてあるか読め無い。
最後に、「誰にも内緒で電話下さい」と、
電話番号が書いてあった。
無言で妹のひさ子に手紙を差し出した。
蘭ちゃんの顔を見ると、困った様に私の顔を伺っている。
自分が養子である事を知ってしまったんだ。こんな時期に、父親がもう幾ばくも無い、そんな辛い時に。
止めて欲しい!
咄嗟に私は
「蘭ちゃんのパパはね、隠そうとしたんじゃないんだよ。蘭ちゃんがも少し大きくなったら話そうと考えて居たんだよ。
(其れは本当の事だった。輝男には死ぬ迄に蘭ちゃんに養子である事を話して置くようにアドバイスしてました。辛い事だけど…
避けては通れ無いから)
おばさんが後で全部ちゃーんと話すからね。」と、言った。
「ん。」と、蘭ちゃんは答えた。
「この手紙読んで如何思った?」と質問すると、「良いじゃない〜」と返事をした。
何事もなかったかの様に、
「私、自分の持ってる本をぜ〜んぶフィンランドに持って行く。」と続けて言った。
「ん、良いよ。全部持って行こうね。」
妹のひさ子は私と蘭ちゃんの会話を黙って聞いていた。
蘭ちゃんは続けた。
「この空気清浄機は性能が良いし未だ新しいんだよ。持って行っていきたいな。
それから、冷蔵庫も。ふ、ふ。」と笑った。遊びで言ってる。
「そんなでっかいの持っていけ無いよね〜」と応えると、また「ふ、ふ」と蘭ちゃんは笑った。
「私のフィンランド行きの決意は変わって無いよ…」と知らせたいのだろう。
其れから今迄一度もその実母からの手紙を返して欲しいとは言わ無い。
私が今も保管して居る。
病院で明日をも知れ無い義弟の輝男には
こんな事が有ったなんて言えない。
蘭ちゃんが少し休んでから、三人で
輝男を見舞った。
彼は、苦しい息の下で
わたしと、ひさ子の手を引き寄せ、
蘭ちゃんの手の上に乗せて、
「有難う御座います。
お願いいたします。」
と、絞り出すような声で言った。
皆様お久しぶりです。
何ヶ月もご無沙汰してました。暫くわたしの経験した事を書いていきます。小説にも無いほど劇的で、
