元記事


http://kft-mag.org/vol1/sea-fog/




[special]

海のスペクタクル:「鳴梁」「海賊」「海霧」


霧の中の欲望[海霧]の特殊撮影と特殊効果



大漁の夢を抱いて出港した漁船が密航者を積み運びながら霧に包まれる。



「海霧」ひと冬のロケーションで本物の海をとって、特効業者「デモリーション」のノウハウを集約し


巨大な水槽に二つのgimbalを入れて密航場面を撮った。


注*ジンバル(gimbal)とは

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AB


波を起こすために別に波生成装置を製作して霧を作るためにドライ フォーウェット技法(ドライ フォーウェット-特殊スモッグで地上のセット場をいっぱいにした後、


特殊カメラで撮影して手中と同じ効果を出す技法)も使った。




真冬の遠い南の海



「海の映画はもうこれ以上撮らない。」



「台風」(2005)の苦労後ホン・ギョンピョ撮影監督が持つ確約は「海霧」のシナリオの前で崩れた。



撮影監督として欲を出さずにはいられないもう一つの海が待っていた。



「台風」 以後8年ぶりの海。


その間、忠武路の特殊撮影技術もそれだけ発展し、ホン・ギョンピョ監督は再びスクリーンに「本物の」海を再現する重大な任務に飛び込んだ。



イントロ10分余りを除いて映画の全てが海のシーン。広い海、漂流する六人の船員。


「海霧」の海は拉致された船員の心理底辺までをひっかき散らす装置であり、また別の映画の人物だった。



アクション映画である吠え叫ぶ海とはその属性が違い、


船員の心理戦を表わす背景に忠実に役割を遂行する海でなければならなかった。



「リアリティーがカギだった。

演技する俳優にほとんど本物のような環境を作れば両者に明らかにシナジーがあるだろうと判断した。」


「海霧」後半CG依存度を徹底して排除し、代わりに最大限実際の海で撮影することを原則に据えた。



事件が繰り広げられる甲板の上をいつも影のように付いて回る海、


ホン・ギョンピョ撮影監督はその海をCGなしにほとんど全て実態調査撮影で耐える。



「水と火はCG表現力において最も難しい領域です。


多様な色感、風の量、世紀の精巧な差をCGで全て作り出すというのは不可能なことだ。


生半可に観客の目を欺かずに徹底して実際の姿だけを見せたかった。
 
『海霧』は海の中でも水の流れが強いことで噂になっている海だけを選んで撮影した。


実際の船員が魚を釣る荒々しい波が起きる場所を探したらロケーション場所として


南の端に位置した巨済島の海でさらに深く入った海を探さなければならなかった。」



特に海上撮影は水平線に日が昇る姿とも関連があり


角度や色々なものを考慮して巨済島、馬山、釜山、麗水近海などいろいろな所で撮影を進めた。



「グリーンとブルーが混ざっている深い海の色感は本物でなくては演出することはできない領域だ。」



「海霧」の甲板場面は全部このように捜し出したロケーション場所を基に、給油船の上で撮影した。



「ほとんどすべてのことがアナログ方式で成り立った。


そのおかげで俳優が寒い冬、船酔い経験をするなど苦労が並大抵でなかった。」



ホン・ギョンピョ撮影監督はそれでもこの地点だけは放棄できなかったと話す。



「意地といわれれば意地なのだがもう少し写実的な画面を演出するためには仕方ない選択だった。


それをための『乗物酔い』程度は我慢して耐えるべきだと考えた。」


テスト撮影だけ数回反復、昨年冬酷寒の寒さを突き抜けて「海霧」の海はそんなに画面に捉えられた。




水槽セットに押込んだ二つのgimbal


もちろん海で撮影できなかった部分もあった。


正に船員の密航場面演出だった。


船が接岸する場面は実際の撮影をすることがほとんど不可能だった。


船員たちがサイズが違う二つの船から移る場面を敢行していては


うっかりするとその間で俳優が落ちる大きな事故につながる危険があった。



それで船が揺れて傾くのを演出できるgimbalを利用した特殊撮影を進めた。



「海霧」の製作スタッフはgimbalの場面だけを撮り背景である海は全てをCG作業でやらず、


コヤンアクアスタジオにある水槽セット中に二つのgimbalを設置して、



その上に船2隻をのせて撮影をした。


gimbalの高さだけで何と30メートル、大きさが6メートルで規模と技術力の面で一層アップグレードされた方式だ。


「デモリーション」のパク・ギョンス特殊効果監督は


「特殊効果業者デモリーションが『台風』と『敵壁対戦』の製作を経て積んだ、gimbalに対するすべてのノウハウが『海霧』のgimbalに入っている」と話す。



今回の映画のために開発された「両用gimbal」は


「水に浸った漁船の沈没を具現するために」フリープロダクション段階から数回の技術会議を経て製作された新技術だ。


本来は地上用、水中用gimbalを別に作る考えだったのだが、


色々な製作条件を勘案して見たら


むしろ地上と水中でどちらでも使用が可能な、両用gimbalを開発することになった」


ということがパク・ギョンス特効監督の話だ。



漁船二台がひっつくシーン多いので大型gimbalと小規模gimbalを並べて配列する試みをしたという点も注目するに値する。


「それぞれのgimbalがどのように動くのか角度を計算した後、


撮影チームとの緊密な協力を通じて数回シミュレーションを試みてみた後配列に成功した」とパク・ギョンス監督は話す。




一方ホン・ギョンピョ撮影監督は



「巨大なgimbalを水槽セットの中に入れること自体が国内最初の試みであり冒険」だったと話す。



「雪国列車」(2013)は雪原でとることができなかったために


全てをgimbalだけで活用したとすれば


(「雪国列車」は最後の汽車が脱線する場面だけをオーストリアで撮影し残りは全部gimbal場面だ)



「海霧」は可能な本物のものを活用することにした。



CGで作った海を少しでも減らすために水槽で海と似た環境を作った。



「ホン・ギョンピョ撮影監督はこの方法を先んじて「台風」の 時も使った。


波が押しかける場面を演出する時室内で水を注ぎながらとった経験を「海霧」の撮影へと発展させたのだ。



船が沈没する場面やはり水槽セット中で成立させたがこのやはり十分な高さが伴わなくては不可能な作業だった。



主演俳優であるパク・ユチョンはgimbal上での作業だが本当に海に落ちるようなくらりとした経験をしなければならなかったと(言っていた)。





波と霧を作る技術



海が主な舞台である「海霧」のまたちがう観戦ポイントは波の具現だ。



実態調査撮影が多い映画なだけに「波生成装置」の必要が切実だったと製作スタッフは話す。



パク・ギョンス特殊効果監督は「コヤンアクア スタジオの水槽の大きさに合わせた『波生成装置一台を「海霧」の製作環境に合うように自主開発した。


この波生成装置は「一般的なウォーターパークで波を生成させる原理でない、シリンダーを手中に漬けて取り出す方式」で手軽で早く波を起こすという点で差別化される。



また、波の大きさと速度調節が可能な「海霧」の波生成装置は、



「水槽がもっと大きければ二三,四台を共に使用できてはるかに多様な形態と速度を持った波を生成できるものと見られる」と話す。
 

一寸先も見通すことはできない海霧、「海霧」の表現も製作スタッフには重要だった。



明け方海の水平線を覆った海霧は美しく見えるが、


時によってはの前を見ることもできないほど強い属性を表わして怖く恐ろしくなりえる存在だ。



ホン・ギョンピョ撮影監督はこのように多彩な海霧の属性を撮影に表わす。



「ポン・ジュノ監督(製作)がそう言った。ぼくでなければやれる人がいないと。


その話に落ちた。(笑)



浅く濃厚な海霧の濃度を表わすこと自体が撮影監督としてこの映画の映像を作る魅力だった。」



映画の40%が海霧がかかった海だ。



実際の海の海霧を撮影して主なソースとして活用した。



本格的な海霧演出は「幽霊」(1999)のスモッグ、


「M「(2007)の霧の場面、そして『雪国列車』のサウナ室スモッグ演出する時使った「ドライフォーウェット(Dry for Wet)」技法を使ったが、



今度は海を全部覆う程の大きさで拡張したという点で全く新しい試みだ(ドライ フォーウェット-特殊スモッグで地上のセット場をいっぱいにした後、特殊カメラで撮影して水中と同じ効果を出す技法)。



船を釜山セット場に移してスモッグを満たして、濃度とライティングを調節し海霧を表現やり遂げた。



ホン・ギョンピョ撮影監督はいままでも忠武路の技術的表現力が海外と比べても遜色がないと話す。



「技術が完ぺきだという言葉は結局観客が技術的な異質感を感じず皆がドラマに陥れるようにできることだ。


正に『海霧』を作業して念頭に置いた最も重要な技術だった。」