その時は4 | BOOKMAN

その時は4

「淳(あつし)君、折り紙持ってきたよ。」
「あ、どうも。」
「ねぇ、もっと丁寧に切りなよ。」
「いいんだって、誰もそんな細かいとこ見ねぇよ。」
「男子ってそういうことあるから嫌だし。」「出たよ、男女差別。」「それとこれとは違うでしょ。」
3-2からたくさんの雑音が飛んできた。文化祭に向けての準備は、クラスごとに役割を分担してやっている。それをするのは、実行委員とクラスで手伝ってくれる人を集めて行う。うちのクラスは俺も含めて十人。三学年の中では、二番目に多い。木本、学級委員の田所と比良、哲也、そして、結子とその友達の佳代と美紀。後から、哲也が桐島を連れて来た。
どういう風の吹き回しか、真も手伝いに来た。
3-4は、約半数の人が手伝っている。でもそれは、文化祭に向けてというより、友達と放課後残ってやるという楽しみの為だけでしかない。3-1と3-2はどちらも六人。1年と二年は、全てのクラスが半数以上。全員というクラスもある。

俺は、学級委員に手伝ってもらいながら皆に指示を出したり、まとめたりしている。
結子たち三人は、机を囲んで仕事に取り込んでいる。
真は愚痴を言ったり、度々手が止まっているが、一応働いている。
哲也に誘われた桐島は、不器用な哲也に丁寧に作業を教えている。
木本は、俺と学級委員の元に来て指示を煽ったり、結子たちと話したり、真の元に行って注意したり、桐島たちの進み具合を覗いたり、実行委員の俺よりも忙しそうにしている。
木本は、ずっと変わらない性格。いつも何にでも積極的。この中学は二つの小学校から入って来ており小学校は違ったが、中学の三年間は同じクラスだったから良く分かる。でも、ほとんど話したことはない。なぜなら、嫌いだから。俺の性格とは噛み合わなかった。俺にとってあいつはただのウザい奴。俺以外でも、そう思っている奴は少なくなかった。ただ、今は違う。逆に、あいつを羨ましいと思うようになった。あれだけ何にでも全力なら、後悔することはほとんどないだろう。俺は後悔だらけ。
でも変わった。
もう後悔したって遅いから、今に全力を注ごう。人を羨ましがってばかりでは、何も進まない。そう思うようにもなった。でも多分、俺はこれからも後悔したり、羨ましがったりするのだろうけど。