その時は2
「ねぇ皆、ちゃんと手を挙げて話そうよ。」
立ち上がって注意したのは学級委員の田所茉智(たどころまち)。
「好き勝手に話してるだけじゃ、意見まとまらないよ。」
俺の心を読んで、代弁してくれたみたいだった。
そう言うと、今まで喋ってた連中の口が一斉に閉じた。やっぱり、うちのクラスはこんなもんか。
「はい。」
それから、約一分後やっと一人の男が手を挙げた。学級委員の広瀬比良(ひろせひら)。この比良という名前は、比良の父親が何となくかっこいいからという理由だけで決まったそうだ。比良の母親は、夫が頑固なのを知っており、すぐに諦めた。比良は、細い体の割りに筋肉質で、目がきりっとしている。女子の話しではモテるらしい。
「はい、比良。」
きりっとした目が莉沙を向いた。
「莉沙が今までと違う感じのやりたいって言うのは分かっけど、さっきも誰か言った通り、やること限られるし。今まで通りでもしょうがないって思う。」さっき誰かが言ったことと何も変わらないのに、ざわついた中で言うのと、静けさの中で言うのとでは全く違っていた。
この一言で、余計に静かになってしまった。
「高橋、大ちゃんが手、挙げてるよ。」
真が、机にうつ伏せたまま、窓側の一番後ろの席を指差した。
何も見えない。前の席のノッポの田中敬(たなかたかし)が、そっと左にずれると、肘を曲げたまま小さく手を挙げている男がいた。桐島大地(きりしまだいち)。名前のイメージとは違い、小柄でやせほそっている。
珍しい。いつも地味で消極的な桐島が手を挙げるなんて。
「えと、桐島。」
ちょっと驚いて、間が空いてしまった。ゆっくりと立ち上がる。立ち上がったのはいいが、何も喋らない。
「大地、ゆっくりで良いから話せ。」
真ん中の一番後ろの席にいる、和田哲也(わだてつや)が声をかけた。クラスの男子の中では、一番の世話焼き。
大地が顔を上げた。
「広瀬君が言いたいことは分かるけど、それで皆満足するかな。最後の文化祭だし。」
そう言うとすぐに座った。まさか反論するとは。
「じゃあ、この時間ぎりぎりまで考えてみよう。」
俺もやる気が出てきた。
今までのやる気ない(自分が一番やる気が無かったが)クラスとは少しだけ違った。
立ち上がって注意したのは学級委員の田所茉智(たどころまち)。
「好き勝手に話してるだけじゃ、意見まとまらないよ。」
俺の心を読んで、代弁してくれたみたいだった。
そう言うと、今まで喋ってた連中の口が一斉に閉じた。やっぱり、うちのクラスはこんなもんか。
「はい。」
それから、約一分後やっと一人の男が手を挙げた。学級委員の広瀬比良(ひろせひら)。この比良という名前は、比良の父親が何となくかっこいいからという理由だけで決まったそうだ。比良の母親は、夫が頑固なのを知っており、すぐに諦めた。比良は、細い体の割りに筋肉質で、目がきりっとしている。女子の話しではモテるらしい。
「はい、比良。」
きりっとした目が莉沙を向いた。
「莉沙が今までと違う感じのやりたいって言うのは分かっけど、さっきも誰か言った通り、やること限られるし。今まで通りでもしょうがないって思う。」さっき誰かが言ったことと何も変わらないのに、ざわついた中で言うのと、静けさの中で言うのとでは全く違っていた。
この一言で、余計に静かになってしまった。
「高橋、大ちゃんが手、挙げてるよ。」
真が、机にうつ伏せたまま、窓側の一番後ろの席を指差した。
何も見えない。前の席のノッポの田中敬(たなかたかし)が、そっと左にずれると、肘を曲げたまま小さく手を挙げている男がいた。桐島大地(きりしまだいち)。名前のイメージとは違い、小柄でやせほそっている。
珍しい。いつも地味で消極的な桐島が手を挙げるなんて。
「えと、桐島。」
ちょっと驚いて、間が空いてしまった。ゆっくりと立ち上がる。立ち上がったのはいいが、何も喋らない。
「大地、ゆっくりで良いから話せ。」
真ん中の一番後ろの席にいる、和田哲也(わだてつや)が声をかけた。クラスの男子の中では、一番の世話焼き。
大地が顔を上げた。
「広瀬君が言いたいことは分かるけど、それで皆満足するかな。最後の文化祭だし。」
そう言うとすぐに座った。まさか反論するとは。
「じゃあ、この時間ぎりぎりまで考えてみよう。」
俺もやる気が出てきた。
今までのやる気ない(自分が一番やる気が無かったが)クラスとは少しだけ違った。