誰もがそれを知っている

 

【原題】TODOS LO SABEN/EVERYBODY KNOWS/スペイン・フランス・イタリア(2018年)

【監督・脚本】アスガー・ファルハディ

【出演】ハビエル・バルデム,ペネロペ・クルス,リカルド・ダリン,エドゥアルド・フェルナンデス,他

【あらすじ】ラウラ(ペネロペ・クルス)は、妹の結婚式に出席するため、子供と一緒にアルゼンチンからスペインに帰省する。久々に家族に会って幼なじみのパコ(ハビエル・バルデム)とも再会するが、お祝いムードの中で突然ラウラの娘が誘拐される。ほどなく高額の身代金を要求するメッセージが届き、ラウラは絶望する。パコはさまざまな手段で時間稼ぎをし、アルゼンチンからラウラの夫(リカルド・ダリン)も駆け付ける。

(シネマトゥデイより引用)

 

『別離』『セールスマン』のアスガー・ファルハディ監督作。それだけで観るきっかけにはなりますが、やはりハビエル・バルデムとペネロペ・クルスの夫婦共演が気になるところ。

結構な泥臭さのある人間ドラマであり、サスペンスという感じかな。人の心の奥の奥、触れられたくないところまで突いてくる。

最愛の娘が忽然と姿を消し、それが誘拐だと分かったら…。母ラウラを演じるペネロペ・クルスが絶望、焦燥、悲しみ、怒り…色んな顔を見せてくれてます。だけど決して諦めはしない。どんなことがあっても助け出すという確固とした決意も感じられました。

ラウラの妹の結婚式に集うのは、父母をはじめとする家族たち。そして、幼馴染パコとその妻ベア。娘が誘拐されたことで、式には来ていなかったラウラの夫アレハンドロも駆けつけ…。

意味深な邦題の通り、物語は展開していきます。何を書いてもネタバレしそうだから敢えて何も書かずに…と、なると難しいんですが、何よりも俳優さんたちの真に迫った演技が良かった。

パコを演じたハビエル・バルデムも夫アレハンドロを演じたリカルド・ダリンもできる限り手を尽くすけれど、置かれた立場や、自尊心が邪魔をしてくる。そのジレンマに苦しむ姿から、彼らの遣る瀬無い気持ちが伝わってきます。

小さなコミュニティの中での結婚式。町全体が顔見知り。そんな中で渦巻く愛情と憎悪。誰をどこまで信頼していいのか?

情熱と太陽の国スペイン。陽気な人たちが集うイメージがあるけれど、そこにも人間臭さや、嫌らしさはあるもので、どこの国でも同じなのかも。最後まで目が離せない展開で、ラストの見せ方にも余韻が残りました。

 

(画像はすべてお借りしました)

 

今までのアスガー・ファルハディ監督の映画では、イラン人の俳優さんが起用されてきたし、舞台も違いますね。社会問題を描いた前作ともまた違った作風でした。

ハビエルとペネロペ夫妻の起用で良かったところもあるけれど、違ったらどうだったのかと思ったりもして。夫婦役でないのは味噌なのかな。

ふたりはまだ結婚する前に『それでも恋するバルセロナ』で共演してますが(付き合ってたのかな?)、あちらは奔放な恋が描かれてて、いかにもスペインらしい作品でした。あっ監督はウディ・アレンでしたが(^_^;)

 

P.S.チェックしてた『ハーツ・ビート・ラウド』の上映が次の週からと勘違いしてました。旅行でお小遣いがなくなったから、映画も程々にと思うんですが、やっぱり観たい(^^;)