今日8/21は小杉雅之進の祥月命日 | 幕末散歩

幕末散歩

幕末に活躍した先人について、その史跡巡りや史料調査の経過や結果を書き綴ります。

この人を知ったのはそんなに昔ではない。
今から8年ほど前のことだ。
定年後の趣味のひとつとして、幕末時代の先祖の調査を本格的にしようかと思い調べ始めたときだった。
       晩年の小杉雅之進
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わが家には、祖父・河島精一の作成した系図がある。
系図とはいっても、祖父が亡くなる年に、病床で言い残したものを纏めたものだ。
自分の祖父(幕臣・河島由路)の代から、自分の子供の代まで、4代にわたって詳細に記述してある。
登場人物は、河島家で48人。自分の祖母(河島由路の妻・小杉とし)の実家小杉家では26人、自分の妻梅子の出身・三吉家では13人。よくこれだけ記憶していたものだと感心もする。

系図の中には、マイナーだが一応名が知れた人では、
河島家関係では、彰義隊に参加し戦死した河島由路、関東大震災を予言した地震学者・今村明恒、漱石の甥・夏目小一郎、
        河島由路
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       今村明恒
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小杉家関係では、慶喜の謡の師匠でもあった小杉直吉、開陽丸機関長でもあった小杉雅之進、神戸製綱所の創設に関わった小杉辰三、「逃げる旗本」の主人公・山田昌邦、久能山東照宮宮司も務めた容保の次男・松平健雄、
       小杉直吉
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       小杉雅之進
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       小杉辰三
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       山田昌邦
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       松平健雄
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三吉家関係では、長府藩士・三吉慎蔵、その長男で信州上田にて蚕業教育に尽力した三吉米熊などがあげられる。     
       三吉慎蔵
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祖父は、系図では、小杉雅之進については明治後に改名した「小杉雅三」の名前を使っていた。

ただ、祖父の記憶違いも二三あって、たとえば、
小杉直吉についての記述では、「北海道箱館五稜郭に立て籠もる」とあり、小杉雅之進と取り違えていたりする。

この系図は若い頃にコピーを貰っていたのだが、実はもともと僕は先祖とか歴史とか全く関心がなく、幕末の調査を始めたときに古いファイルから探し出してきたのだった。
調査を始めたとき、名前が違うので「小杉雅之進」については全く気が付かなかった。箱館戦争の記事を読んでも、小杉という同じ名前があるなと云う程度だった。

ある時、仙台藩士鴉組隊長・細谷十太夫を調べているときに、その三男・辰三が雅之進の養子になったとの記事を見つけた。僕の持っている系図には、小杉雅三の養子に「小杉辰三」の名が出てくるが、辰三の親は不明とされていた。
ただこの記事により、小杉雅三とは雅之進のことであり、辰三と細谷十太夫との関わりも明確になり、このときから系図を全く新しい目で見ることができたのだった。
そして、しばらくして小杉雅之進の末裔の伸一氏と連絡を取り、お互いの系図を確認し、またお互いの縁者の墓地、戒名などが明らかになったのだった。

これを契機に、その後、各家の先祖の調査は大いに進展した。

三吉家については、史料が保存されており戦国時代までは遡れる。また三吉家の源流については『太平記』に備後国の三吉氏として表れている。
そして慎蔵が養子に入った三吉家は、長州清末の国学者・船越清蔵と縁があり、また長州萩藩の来島又兵衛、井上馨とも遠縁になることも最近判明したことだった。
また慎蔵の実家小坂家についても、昨年見つけた系図により戦国時代まで、そして更に、他の資料により、間は抜けるが出身の備中の小坂荘(現在の岡山県浅口市鴨方町小坂東・小坂西)までは遡れた。小坂氏は『太平記』に備中小坂の国人として名が出てくる。
また、慎蔵の実母の実家・津原家については、戦国時代は大内家の出身であって津原城主である津原善勝まで、従ってさらに遡ると大内家の系図によるが百済の聖王(聖明王)の第3王子である琳聖太子にまで行き着いてしまう。

小杉家については、小杉家の系図により、発祥の地が富山の小杉であること、さらに遡ると南北朝時代の武将・桃井直常であり、出身が上野国群馬郡桃井郷(現在の群馬県北群馬郡)であることが分った。
また、小杉としの母方の先祖に長崎オランダ通詞であり楢林流紅毛外科を創始し家業とした楢林鎮山がいて、地震学者・今村明恒の先祖に同じ長崎オランダ通詞・今村源右衛門英生がいて、楢崎家と今村家とがお互い昔から姻戚関係を繰り返しているという不思議な縁も新たに明らかになった。

ただ残念ながら河島家については、菩提寺の火事により過去帳など一切の資料が灰になっており、また戦後、祖父の家も類焼で史料が灰燼に帰してしまったため、河島由路より前の代は菩提寺に墓石はあるが、今現在はまだ辿ることができないでいる。調査方法を検討し、これから鋭意、幕臣の調査を進めたいと思っている。

以上のとおり、これまで調査が可能であったのは、それもこれも祖父が残した系図があっての事ではあるが、「小杉雅之進」を知る事が切っ掛けで初めてできたことでもあり、毎年今日この日は特別の日として感謝をしている。

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絵は三吉慎蔵と坂本龍馬です

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