阪急西宮北口駅にて 28歳の頃、阪急電車で帰る途中、車内で事件に出くわした。

 若い大男が中年の男に何かインネンをふっかけていた。西宮北口駅で私もその2人も降りた。

 すると、

 

 その《大男はいきなり中年の男の襟首を掴み、出発直前の車両の壁に押し付けた》。

 車両の継ぎ目だったので私は瞬間的にハッとして、これは死者が出る!と危機感を持った。

 

 すかさず、後ろから思いっきり大男を

 

 《『死ぬぞ!』と叫びながら必死で引っ張った》。

 

 何とか引き剥がし、ホッとしたところ、今度は持っていたカバンを振り回しながら私に向かってきた。

身体にかすって、ちょっとよろめいた。

 ふと中年男を見ると、ボォーと突っ立っていた。これを見て、これはいかん!と彼に向かって、

『逃げろ!』

と叫んだ。 走り出したのを確かめ、私もすかさず脱兎の如く逃げ出した。

 

 北口駅のプラットホームの階段を飛び降りた時にスーツのズボンの膝のところを破ってしまった。

 改札口を出た所で中年男に追いついた。私は直ぐに彼に向かって

 

 『何か悪いことをしたのですか?』と質問した。彼は横に頭を振った。

彼にも非が有ったのではないか?と思ったからだった。私にとっては命懸けの行いだった(.)

人生上のたった2度だけの命懸けの行いの一つだった。