初めて踏み入れたシッチェスのグランドはあちらこちらにビーチのような砂地があり、私の最も苦手なグランドでした。またボールを持たないでストレッチや腕立て、腹筋などをしながらゆっくりとグランドを走るこれまた私の最も苦手なトレーニングが30分ほど続きました。この日集まったのは14人ぐらいでした。
一段落するとカールは皆を集め、今日は若手の練習相手をするからと言いました。グランドの半分使って実際の試合の様な練習をするとの事で、タックルも入るので気を抜かない様にと言い、私にはどうするか聞きました。
タックルが怖くて止めると思われるのも嫌なので、やると言うと、「ポジションはブラインドサイド(攻撃してくるサイドの反対側)のウイング、相手が来たらタックルせずに、好きに走らせろ」と言ってくれました。未経験者の私が怪我をするのが心配だったみたいです。当然ですが、ボールに触る事もなく、相手と接触する事もなく、終盤になり、このままではあまりに面白くないので、ボールに絡む事にしました。

シッチェス ラグビー クラブのグランドは土で所々砂浜のように柔らかい
ベテランのチームに一人非常に強い選手がいます。相手をどんどんかわして進むのですが、左へかわして走るのが得意らしく、何度も左へ突進してくるのですが、誰も彼の左へフォローしないので最後は捕まってしまいます。私はその時丁度左ウイングでしたので、彼が次に突進した時、彼の左サイドに走り込み、大きな声で「パス」と叫んだら彼が反応し、ボールを受け取りました。
相手は誰もいなくてゴールラインはすぐ間近で楽にトライできると思ったら、ゴールラインの直前が砂地で、いきなり足が止まりました。後ろから来た選手にタックルされて、跳ね飛ばされた勢いでトライできましたが、痛い目に遭いました。
その数分後全く同じような場面となり、今度はゴールラインに少し距離があったので、無理をせずに内側の選手にすぐパスをしたのですが、パスをした後に今度はレイトタックル(反則)を受けて跳ね飛ばされてまた痛い目に遭いました。
どうやら新人に対する暖かい歓迎の儀式みたいです。そのプレーが最後で練習が終わりになり、最後にタックルをした選手が笑いながら謝りに来ました。まだ20歳すぎのすごい体をした選手でした。その日は寒かったので、皆に挨拶だけしてシャワーも浴びずに先に帰りました。