10年程前の事です。

 その日は珍しく早く仕事が終わったので
同僚とお好み焼き食べに行こうってことになりました。

 注文を聞きに来たのは、豊満な女の子。
「ご注文はお決まりですか?。」

 同僚は、一言「ブタぁ」と豚玉を注文。
なんて奴だ・・・と私は思いつつも
「ブタ玉ください。」
嫌そうな顔をした女の子に対して罪を感じる。
(ある意味豊満な女性は好きです)

 豚玉食べてビールを飲んでいい気分。生中2杯くらい飲んだかな。
「さ、帰ろうか。」同僚とひとしきり
会社の人間や、得意先の方の物真似で盛り上がった。

 「おい、レジはどこだ?」
俺は同僚に聞いた。
同僚もわからないらしい。
普通出入り口にあるものなんだが
何故だかないような気がする。

そのお好み焼き屋は、店内と商業施設の通路が
自然に連結してるようなつくりなもんで
俺と同僚はキョロキョロするうちに、屋外に出てしまったのだった。

排ガスに生暖かい風に車が通りすぎていく。
「・・・もしかして、俺たち食い逃げ?」
「い・・・。」
あははは・・・と二人は笑いその場を走り去った。
まるで、犯罪者のように。犯罪者か・・・

しかし、なんで逃げるんだ?
戻って店員に尋ねて代金を支払えば
済む問題じゃないか。

走る俺と同僚の頭の中、当然よぎる思い。

何故だか、止まれなかった。