ジェウンにあれこれと好みを尋ねる態で
適当に品を見繕うと

ほんのついで、とでもいうように
例の品を主に指し示し

「それも買おう。別に包んでくれ。」

「毎度ありがとうございます!」

とうとう売れてしまったんで、
ジェウンはかなり気落ちしている

そんな姿に気付かぬふりをし
一緒に店を出ると

例の品が入った方の包みを
ポンっとジェウンに渡してやる

包みを手にしたアイツは
驚いた眼で俺を見た

「一緒に選んでくれた礼だ。
遠慮なく受け取れ。」

包みを大事そうに掌に乗せると
俺に向かい両手で差し出し、

「受け取ることは出来かねます。
お役に立つことのできなかった某が
頂く訳には参りませぬ。」


…うっ、
これだからマジメすぎる奴って
手がかかるんだよな~


「この品を渡したい人がいるんだろ?
ずっと見てたんだろ?
(その品を、その女を)
…だったら遠慮なんかせずに受け取れ。」

ジェウンは目を見開き俺を見ていたが、
神妙な面持ちで話し出した

「お気持ちは有難く
私には勿体ないほど。」

うん、うん、そうか、そうか 
と機嫌よく扇ぎながら話の続きを促す

「この品はきっと似合うことでしょう。
だからこそ、自分の力で渡したいのです。」

ズルッ、と俺はコケそうになった

手から落としそうになった扇子を掴み直し
その陰でため息をつく


本当にコイツは
どうしようもない阿呆だ

奥の間でその品の値を知った筈
未だ甘い事を言いおってからに!

手に入らねば
何の役に立つと言うのだ


…仕方が無い、
乗りかかった船だ

キム・ジェウン、
その男気に俺も乗ってやる!

この時、扇子の陰で
先輩の眼が怪しげな輝きを放ったのを
ジェウンは知らない


「この品を受け取れとは言わぬ。
いつかお前の力で買える時がくるまで
俺が大事にとっておいてやる。
…それでいいか?」

「先輩…。」

ジェウンは俺の顔を真っ直ぐな眼で
じっと見つめてくる

キレイな男のキレイな眼は
目の毒だな、こりゃ…


「その代わりと言っては何だが…
今日この後、予定ないんだろ?
お詫びがしたいなら付き合え。

さっき買ったヤツ渡すから
お前はその場で一緒に選んだと
言ってくれたら、それでいい。」

「妓楼には行くつもりはあり…」

とぼけた調子でアイツの弱点を突く 

「この品もあげちゃおっかなぁ~?
それとも店に戻そうか?お前が選んだ!と
なれば即売れちまうぞぉ〜〜」

さすがのジェウンもこれには参ったらしい 
大人しく一緒に妓楼へ向かう事になった


俺は密かに妓楼へと使いを送る 

「『キム・ジェウンが来る』
とファヨンに伝えてくれ。」

と言づけるために


つづく

2013年9月初出、2019年1月加筆修正

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