緩和病棟のナースセンターに行き
旦那「日向珠子が入院しているって
聞いたんですが病室は何処ですか?」
看護師「ご家族の方ですか?」
その質問に答えることを躊躇しつつ
旦那「身内のものです」
と答えました。
ナースセンターの看護師が、
緩和ケア病棟の入り口と思われる扉に入っていき
中の看護師といくつか言葉を交わしていました。
そして扉を開き、中にいた看護師さんに声をかけられました。
看護師「息子さんですね?」
と・・・旦那は、躊躇いつつ「ハイ」と答えました。
旦那、息子(2歳9か月)、私の順番で病室に入ります。
ベッドには珠子さんが横になっていました。
珠子さんは、旦那を見て、
次に旦那を小走りで追いかける息子を見て
珠子「また一段とかわいくなって…」
と、表情は変わらないまま掠れるような声で言いました。
旦那「死にかけたんだって?あっちゃんに聞いたんだ」
(エコノミー症候群で危なかった件↑)
珠子さんは何のことかわからない顔をし首を振りました。
どうやら声が出しにくいようです。
息子は今回も珠子さんのそばに行こうとせず
当然、珠子さんのそばにいる旦那が「こっちおいで
」と言っても「こわいこわいー
」と、ベッドの足元の方にいる私のそばにいました。看護師さんが椅子を持ってきてくれたので
椅子を並べて座ることにしました。
旦那、息子、私の順で…でも息子は珠子さんの方をみようとせず
持ってきた車のおもちゃで遊び始めました。
一応言わなきゃいけないことだと思い
私 「本当に、お墓に父の骨は入れていないんですよ
」と言ったのですが、
珠子さんはこれまた何のことかわからない表情をしました。
旦那「おじさんから、呪い殺してやるってメールが届いたんだ」
珠子「いつ?」
旦那が携帯に届いていたメールを見せました。
旦那「5月…」
と話していると、お医者様に呼ばれました。
3人で病室を出て面談室に移動します。
医者「よく来てくださいました…
現在、食べ物を摂取することができなくなり
体の中にある水分だけで生きている状態です。」
旦那「点滴で?」
医者「いえ、点滴を打つとむくんでしまうのでうっていません。
今まで、もっているのも不思議な状態です。
今、どちらにお住まいですか?」
旦那「最近まで地方都市で暮らしていたのですが
何度か引っ越しまして…今は○○で暮らしています。」
医者「では、お帰りになられる時が、最後だと思ってください。」
とうとう最後なんだ…
本当に最後なんだ?
こんな状態を見ても、
珠子さんが死ぬ
という気がまったくしないのは
何故なのでしょう?
息子、私、旦那の順番に面談室を出た後、
後ろについて出てきたお医者様に
私 「よろしくお願いします」
と頭を下げました。
お医者様は頷くようにお辞儀をされました。