1ミリシーベルト

現在、一般人の放射線被爆量は、年間1ミリシーベルト以下にするということが法律で定められている。この根拠がまたよくわからない。これも科学というより政治によって定められたといえる。

この1ミリシーベルトは、自然放射線や医療放射線を除いた値ということになっている。しかし、放射線が自然によるもの医療によるもの原発事故に由来するもので色分けされているわけではない。はっきりいって同じだ。

自然放射線量や医療放射線量が各地でそんなに変わらないということだったら、それでもいいのだが、実際には世界各地で自然放射線量と医療放射線量というのはまったく違うのだ。特に問題になるのが自然放射線量の差だ。

自然放射線量は、標高の高い地域、緯度の高い地域、湿度の低い地域、地層に天然の放射性物質を多く含む地域が高くなる。

このため世界には日本よりずっと高い自然放射線量の地域がある。それを下記にまとめてみる。ちなみ東京の自然放射線量は比較のために記載した。

場所            年間放射線量

東京            0.5ミリシーベルト/年

岐阜            1.2ミリシーベルト/年

デンバー(アメリカ)     5.0ミリシーベルト/年

メキシコシティ(メキシコ)  7.3ミリシーベルト/年

ガラパリ(ブラジル)     10.0ミリシーベルト/年

ラムサール(イラン)     10.2ミリシーベルト/年

ケララ州(インド)の一部   20.0ミリシーベルト/年

ちなみに上記の高線量の地域では他地域と比べて健康上問題のある結果は報告されてない。実は、デンバー以外のこれらの地域では国際的な医療チームが過去に何度も現地に入り、調査を進めているのだ。しかしながら染色体異常もガンの高発生率もみられないと報告されている。

デンバーは人口61万人の大都市だ。ここの場合、比較的標高が高いのに加え、地層にウラン鉱脈層がある。このため放射線量がかなり高いわけだが、しかしデンバーはガンの発症率が高いわけでもなく、むしろここは全米でも比較的長寿な地域で知られている。

インドのケララ州の線量だが、平均値では3.8ミリシーベルトだ。ここはインド国内ではもっとも幼児死亡率が低く、またもっとも長寿命な地域として有名なのだ。一部の高線量地域でも健康被害は報告されていない。

上記の地域でメキシコシティを除いて、地層に天然の放射性物質を含んでいる。デンバーはウラン、ガラパリとケララはトリウム、ラムサールはラジウムだ。これらの地域では鉱脈層はどうしても多少の濃淡がでるため、放射線量は高いところだと1時間当たり1マイクロシーベルトを超える。雨どいのようなマイクロスポットでは50センチ程度で影響はなくなるが、これらの地域では高線量の場所が一定の広がりがあるので地表近くの線量をあまりかわらないまま受けることになる。

それでいて大人も子どもも健康被害を受けていないとされるのだから、これらの地域では、医療、自然放射線量を除いて年間1.0ミリシーベルトを限度とするというICPOの勧告はまったく意味がないということになる。