BLです
ご注意下さい
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈にのあい学パロ
「っくし!……ズズッ………んーー…
暖かくなってきたとはいえ、日が落ちるとまだちょっと寒いなぁ」
日が長くなってきた夕暮れ時。
いつもの公園のいつもの木の下で
あいつを待っている。
そろそろ帰ろうと声をかけようと向けた視線の先にはあいつは居なくて、珍しく先に戻っていたらしい。
フワリと掛けられた温もりにちょっと驚いた。
「あ…」
「カズ大丈夫?風邪引くからもう帰ろうか」
「なんだ、もう終わってたんだ」
「うん。ちょっと目の痒みが辛くなってきて…
ふぁ……あっっくしょん!!」
「あーあー」
俺とは違う理由のクシャミが豪快に辺りに鳴り響く。
スギ花粉が猛威を振るってる季節。
注射も薬も飲んでいたって辛そうな姿に呆れつつ
この時期くらい外で練習しなきゃいいのに…と言っても頑なにココで練習したいと言うから毎週来ていた。
「やっぱ、少し控えたら?ココじゃなくたって体育館とか屋内施設とかも解放してんだからそこでやればいいじゃん」
「だってさぁ…カズが見ててくれるし、カズの歌声も聴こえてくるし、いっぱいパワー貰えるし、最高の練習場所なんだよなぁー」
「…ふぅん////」
そんな事言われたらそれ以上は何も言えなくなる。
ついでとばかりにキラキラの笑顔まで付けて言うもんだから気付けば相手の言う事を聞いてるのはいつも俺だった。
ズルいなって思う。
結局、沢山惚れた方が弱いんだろう。
「あとそれにさ、2人っきりだよ?
こーんな事も出来ちゃうよねっ」
ちゅ…
「っ////おい!!
見られたらどうすんだよ!!」
「グフフ♡カズ顔真っ赤っか〜」
ったくよ〜…なんて文句を言いつつも
自分だってココが好きだったし
出来れば2人の時間をずっと…
大切に、大事にしたいと思っていた。
ん?
……思っていた?
なんで、過去形なんだっけ?
あれ………俺、は…………?
姉ちゃんにバレた時
訪れる時が来たんだと思った。
始めから…
ずっと一緒に居られるなんて思ってなかった。
それでもやっぱり…
ほんの少しだけでも長く隣に居たかったなって思うんだ……
心地が良いその場所に、長く居れば居るだけ
離れがたくなると分かっていても……
*
すばると再会して3ヶ月が経った。
特に心配するような事は無く、俺の生活に自然と潜り込んてきただけって感じで今じゃ当たり前のように一緒に生活していた。
こんな偶然あるわけないと暫くは疑っていたけど
世の中狭いなんて言葉もある。
でもやっぱり規模がおかしいだろ?地球規模?
そんな風に思い直して何度も疑いの目を向けてみたが、本当にこの再会は偶然だったみたいだ。
誰にも俺の事は言ってなさそうだし…
俺としては有難いけどさ
それよりこいついつまで居るんだ?
ちゃっかり同じバイト先で働きだすし
ウチの姉ちゃんといい、上手く丸め込んだよなぁ…
姉ちゃんもやっぱり始めは驚いていた。
疑って、すごく心配して…
"カズ……あの子が連れ戻しにきたの?
雅紀君のいる日本に帰っちゃう?"
"何言ってんの、帰らないよ。"
"そう……そうよね……"
ちょっと情緒不安定になった姉ちゃんを見て
俺よりも重症な気がした。
でもすばるの明るい性格とノリで、今じゃ不安も薄れつつあった。
なんつぅか…根暗な似た者姉弟の傍に明るい人間が居るとちょっとした活性剤みたいな効力を発揮しているような…?
おかけで日に日に3人で囲んだ食卓に明るい笑い声が増えていた。
「あ、なーあー?ニノぉ…
仕事終わりに行きたいとこあんねんけど」
「おぉ、分かった。じゃあ先帰ってるわ」
「いやいや、一緒に来てくれてもええやーん」
「えー…どこだよ?」
「ちょっとええとこ〜」
「……怪しいとこじゃないだろうな?」
「別に如何わしいとこちゃうわw」
「んーー……ったく、しょうがねぇなぁ」
「そうでなくっちゃ!」
珍しくバイトが終わるとすばるから誘い。
いつもなら、旅費の為に余計な出費はあかん!とか言って真っ直ぐ帰るのに。
この時点で何かあるんじゃ?と嫌な感じはあった。
「よっしゃ!行くでぇー」
「…………ハァ」
続