BLです

ご注意ください











まーくんは俺を凄く大事に抱いてくれる
まるで宝物みたいに

でもちょっと箍が外れちゃう時もあるかな

そりゃね、愛し合う行為だし
強く求められるのは嬉しい

だからその時は俺も同じように
まーくんの事を求めている。


「カズ……愛してる」


後ろから抱き締めて 囁くように
おまえが伝えてくれる気持ちに
胸がキュッて甘く痛むんだ

このままずっと…

ずっと こうしてくっ付いたままで
離れなくなっちゃえばいいのに…なんて
どこの乙女だよって自分で突っ込んでは
逆に、いつかの "もしも" を想像してしまう


沢山愛されるだけ
もしもの終わりが怖くなってくる。


そんな時は悲しくなる自分を誤魔化すように
無性に……めちゃくちゃにして欲しいと思う。


そりゃね、何もかも周りが見えなくなるような
真っ直ぐ進めるような恋じゃないし
この関係に永遠が無い事は知っているから


今は夢みたいな、幸せなひと時に過ぎなくて


それもいつか世間体という現実に
あっという間に足元をすくわれて
連れ去られてしまうんだろう


いつか全てが終わる時…
その時の自分を今は想像すら出来ない


だから今は、今だけは…と
この温もりから離れたくないと
しがみついているだけかもしれない


いつかの、その時まで……







「ったく……あいつめ…」



"カズぅ…今日ユニフォーム使うんだったぁ"

"ばーか"

"お願い!持ってきてー!!"

"えぇーやだよ"

"そこを何とか!お願いします!!"

"チッ…俺を動かすと高いよ?"

"覚悟の上です!今夜ハンバーグでどうだ!"

"……しょうがねぇなぁ"

"やった!じゃあよろしく♡"



あーあ…くそっ
ハンバーグにつられた…


先輩と潤くんが旅行の合間に間借りする事が出来た部屋で過ごしてからもう4日経っていた。

ずっと部屋から出ないで家賃代わりの部屋の掃除をしたり、勉強とゲームは相変わらずやって、ご飯はまーくんが作ってくれたの一緒に食べて…そんで夜は、まぁ…////
そんな感じで結構満喫させてもらっている。

まーくんは今日から練習が始まると大学へ行った。
だから夜まで1人でゴロゴロしてやろうと思ってたのにさぁ…

渋々外へ出ると今年イチの寒さだと言われるだけあってめちゃくちゃ寒くて、すぐ食べ物につられた事を後悔する。

擬似同居生活は、明日で終わりだ。

正月の夜だけはお互いの家で家族と過ごしたけど
それから3日間は毎日飽きもせず毎晩抱き合ってずっとくっ付いていた。それも今日でおしまい。

楽しかったなぁ…とも思うけど
こんな生活ばっかりしてたら人間がダメになるとも思った。


これが当たり前だと思ったらヤバいよね…
そうやって自分に言い聞かせておかなきゃ甘い日々にどっぷり浸かって抜け出せなくなる気がする。


むしろこんな幸せな時間を
知っちゃって良かったのだろうか?


答えの出ない気持ちでハァっと吐いた息は真っ白で
思わず見上げた空はどんよりした雲に覆われていた。
夜、もしかしたら雪になるかもしれないとテレビで言ってたのを思い出す。


今夜はハンバーグより鍋のがいいのかも…
あいつもこんな日に練習なんて大変だなぁ


今朝、気だるい身体を引き摺って玄関で見送った時、俺とは真逆なあいつのキラキラした笑顔を思い出す。


…あ


突然、今すぐあの笑顔に会いたくなって
小走りであまり得意ではない大学の敷地へ足を踏み入れた。








 



お待たせしました!再開してきまーす!