〜eternally〜 #4 LAST
目を開けると
見覚えのある天井が目に映る。
その天井は……いつも目が覚める時
程よい圧迫感に重みと温もりを感じ
落ち着く匂いに包まれながら見ているもので
あ、れ……?
俺……えっと……何してたっけ?
今の状況が全然飲み込めない。
何故、俺はココで眠っているのか
どうして、この場所に居るのか
いくら考えても分からなかった。
俺は…弟の、智久の元へ行ったはずだ
それで……あの後、どうなった?
どうして………若の寝室に?
カチャ
答えが出る間もなく、部屋の扉が開き心臓が飛び跳ねた。
入って来たのは、勿論この部屋の主。
「あぁ…やっと起きたか」
「若っ………いっ、た!」
慌てて起き上がろうとすると
足に激痛が走り、起き上がるのを阻まれた。
「起き上がらなくていい
まだ傷も塞がってないからな」
「なん、で……?」
俺……あの時………
そうだ……大野さんが作ったあの喧騒の中で
ずっと疑いを持っていた男が
若に向かって構えたのを見て…それで…
ぶっぱなした方向に飛び込んでったんだ
盾になった俺の足に弾が掠めて……
やっと、状況が少しずつ飲み込めてきた。
「無茶して……俺の盾になろうとするなとあれ程言ったのに……」
「若……申し訳、ありません…」
結局、若は全てを知っていた。
俺が内通者をあぶりだそうとしてるのも
それを智久に協力をお願いして、少しでも兄弟の溝を埋めたかった事も……
俺の行動を不審に思った櫻井が
密かに裏で動いていたみたいだ。
あの時 睨み合ってたのは芝居で、全て俺の考えが上手くいくように裏で手引きされた事だった。
「あと、智久から正式に断りの申し出を受けたよ」
「え…なんの?」
『この組の長は兄さんのが似合ってます
今回はそれを確かめられたいい機会でした。
あとはカズちゃんをお嫁にする為の根回しを頑張ってくださいね』
「じゃあ……全てお見通しだったの?」
「おまえね…
櫻井を出し抜けると思ってたのか?」
「ハァ…今回はいける気がしたのになぁ」
やっぱうちのブレーンは凄いね…
でも凄いのは櫻井なのに
何故か得意げな若は、満足そうに笑っている。
結局俺は、人望に強いおまえの掌で転がされてただけだったっつぅことね……
「あー…なんだっけ?
全てを手に入れるは……」
何故か今、以前微睡むベッドの中で夢物語みたいに聞いた言葉を思い出した。
ニヤリと不敵な笑みを浮かべた若から出る
内に秘められた野心。
「全部、欲しいと思えばいい?」
「そうだった…」
トップの椅子、そして俺?
普通に考えたら絶対に無理だと思う事も
おまえに掛かれば、不可能じゃない…
血の気の多い強面の男達の中で
誰よりも1番怖いのは
実はおまえなんじゃねぇの?
だからこそ理想論だと周りから言われようがおまえの言葉を信じてついてくる奴らが沢山居る。
「カズ……俺から二度と離れるなと言うのは
これで最後にさせてくれないか?
おまえが無茶する事が1番怖いよ…」
そんな、若から出た弱音。
2度も望んでないのに俺はおまえから離れてしまったから…
おまえにも、怖いものがあるんだね……
「若……アッ…//////」
「ハァ……ちゃんと、生きてる」
「そりゃ…死んでねぇし//////」
心臓の音を確かめるように
俺の胸に耳を傾けた若は、宝物を扱うみたいに優しく包み込んでくれた。
「どんだけ肝が冷えたと思ってる?ああ…綺麗な身体に傷が付いてしまった…」
「…ごめん////////
でも、傷なんてすぐ治るし…」
俺にとっておまえが無事だった事が1番重要で
その為の負傷なら、これくらい大した事ないと思う。
それが若の不満だったとしても
この件に関しては、どうやったって譲れない。
おまえの為に隣で生きる事が
俺の生きる意味なんだから……
「ハァ、ちょっとムラムラしてきた……」
「若!//////」
背中に回された手が撫でるように
敏感な 胸の 突 起に触れる。
そんな事されたらこっちも我慢出来なくなるのに…
「カズ……まーくんって言えよ」
「ん……まーくん?」
「クフフッ…久々だ……ちょークる」
「もぉ/////こんなくっ付いてるからっ」
「このまま、ずっとこうしてたい」
「ンフフッ……甘えん坊」
「……なぁ、足の痛みなんて忘れさせてやるから…」
''だから…おまえの存在を確かめさせてくれ"
可愛いとこもあるくせに
やっぱり 雄雄しい瞳で見てくる若は
妖艶な魅力を持って俺を魅了する。
貴方が望むなら望むだけ
この身で良ければ全てを捧げましょう
貴方の温もりを与えてくれるだけで
俺は幸せだから
俺も、貴方が欲しいよ……
返事をする事も もどかしくなって
求めるように 貴方の唇に自分の唇を押し付ける。
すると、堰を切ったように組み敷かれ
激しく 交わっていく 口内
貴方と俺が、ひとつになる瞬間だけ…
その時だけは永遠を感じてしまい
このまま、ずっと……
つい、そんな愚かなことを考えてしまう。
「アッ…ンアァッ………ハアァッ!…」
「ハァ……ハァッ………クッ…!…」
''カズ……ずっと、傍にいてよ……"
何度も何度も求め合い
俺の胸の中で囁いた若の言葉に
まだ離れなくても良いんだと安堵する。
好きという気持ちは
痛みと共に胸を苦しくするだけだ
でも
貴方の言葉がある限り
俺の想いは変わらない
貴方の傍で…
色褪せることの無い想いを
ずっと永遠に………
貴方を好きなままで
俺は消えていきたいんだと
奥に秘めた想いごと
どうか、抱き締めて……
〜eternally〜 END
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❁⃘*.゚
最後まで読んで下さってありがとうございます
あとがきなどはまた後ほど!