BLです

ご注意ください









「翔さん……ニノ、落ち着いたって」


「あぁ……ハァ……よかった… 」


「リーダーからも連絡あって
  あっちも、少し落ち着いて来たみたい」


「……そっか」











部屋を勢い良く開けると

さっきよりも強く、噎せ返すような
吐き出した 欲 の匂いが充満していた。


ベッドで動かなくなっていたニノに駆け寄ると
そのベッドは紅く、染まっている所があった。



「ニノ!!!!」



意識の無いニノの身体には
所々に散らばる鬱血した紅い跡に
噛み付かれただろう腿からは血が出ていて
全身に塗りたくられたんじゃ?と思う程に
身体中が、白い 欲 で汚れていた。


でも、この血は……ココだけで
ベッドがこんなに染まるわけない…

こんな……ここまで酷いとは……


早く病院へ!!


……ぃや、ダメだっ
連れてったら全てバレてしまう

クソっ……どうしたらいいんだよ!!



こんな悲惨な状態を
どうにも出来ないと頭を抱えていた時

潤が、絶対にバレない医者がいると
昔からの友人に電話をかけてくれて
そこまで運んできた。


潤の昔からの友人は、家柄故にか
裏の世界にも顔がきくと聞いていた。

だからこそ、他に漏れない安心感もあるからと…
所謂お抱えの医者というやつだ。


何も言わずにその医者は
外傷と 内側の…そういった行為で傷付いた身体を理解し、全て応急処置ですからと診てくれた。


よかった……
いや、不幸中の幸いと言ったところか…


……今までで1番、酷かった


俺が見た時よりも、きっと想像を絶するようなコトが起きていたに違いない…



だからっ
行くなって言ったのに……







「こんな遅くにありがとな」


「ぃや、潤の頼みならいくらでも」


「恩に着るよ……理由も話せないけど
 絶対に、漏れないようにお願いします」


「あぁ、当たり前だろ?大丈夫だよ」


潤が友人と共に 
ニノが居る部屋から出てきた。

彼のおかげでニノの治療が出来た
その感謝を伝える為に、深々と頭を下げた。


「七之助さん…この度は、うちのメンバーを助けて下さって本当にありがとうございました…」


「櫻井さん、頭上げて下さい…
 今日は、ウチで彼を預かりますから
 1度家に帰って、休んでから迎えに来てあげてください」


「何から何まで…すみません」


「翔さん、とりあえず行こう…
 明日、5人で収録なんだ…その前に迎えに来るから、目が覚めても勝手に帰るなって言っといてくれる?」


「あぁ、分かった」




俺らには
まだ、やる事があった。



話さなきゃ……あいつと……
  













「翔ちゃん、松潤、迷惑かけてごめん…」


「どうしたんだょ……その手……」



智君と何かあったのか…?

手足を拘束されていた雅紀は
もう、いつもの俺達が知ってる雅紀だったが
顔は憔悴しきっていた。



俺達がニノを医者に連れてった後、取り乱した雅紀の瞳の色が紅くなってきたのに気がついて
まだ意識がしっかりしてる時に
自分を縛ってくれと懇願したんだという。



「なぁ……やっぱ、覚えてないのか?」


「……うっすら、夢を見てるような感覚で
 記憶は、あって…」



思い出したんだろう
ぐしゃっと歪んだ顔から溢れる哀しみ。


止めたくても止められない
手を下してるのは自分自身……




'' 翔ちゃん、1番辛いのは俺よりもあいつよ?"




そうだな……ニノ……
傷付いて、ボロボロなのは雅紀の心だ

あの時の穏やかに話していたニノの顔が頭から離れない。




愛情




こんなにも深い愛情を
あの時、俺は初めて見た気がした。


いつまでもあいつは自分のことより雅紀ばかりで…きっと、これからも……


それなら…2人の末路はどうなる?


ずっとこんな事を続けていくのは、あのニノを見れば不可能なのは誰もが分かっていた。


そして雅紀も…
このままでは心が壊れていってしまう。


これからどうなるかは容易に想像出来るのに
どうしたらいいのか……それはなんの手立てもなく八方塞がりだ。


どうする事も出来ないまま、誰も口を開かない。
ただ、時間だけが過ぎていく。


今、何を言っても…
どう提案したとしても

全て、間違ってる気がする……



その沈黙を破ったのは
虚ろな目をした、本人だった。





「……もぅ、限界だ」



「雅紀?」


「これ以上はもう…あいつを犠牲になんてさせたくない……3人に、お願いがある」



「………うん」