3周年ありがとう短編企画
にのあい学パロシリーズ「今日から」番外編

BLです

ご注意ください









「なんっだよ!!コレは!?」



「ネコ耳やな」
「ネコ耳ね」
「ネコ耳でしかない」


「ネコネコネコネコうるさいよ!
こんな格好しなきゃいけないなんて聞いてねーし!絶対ヤダっ」


学祭のイベントの打ち合わせと呼び出されて
衣装合わせだと手渡された付け耳に
当たり前だけどカズはゴネていた。


やっぱなぁ…
逃げるだけで良いわけないって思ってたわ


予想通り過ぎて呆れて見ていると
運営側の衣装係がそっと猫耳をカズに付けた。


あぁ、やっぱ可愛い…


「もぉーニノちゃんたら駄々こねないのっ
お祭りよ?何もしないなんてつまらないじゃない☆だいじょーぶ!超絶似合うから♡」


「そーいう問題じゃないし」


「あら?じゃあいいの?
  いらないの?欲しいからやるんでしょ?」


「うっ……」


「去年みたいに女装しないだけええやんか」

「うるさい黙れ」

「なんやと!
  フォローしてやってんのに!」


2年のネコはカズとすばるに決まった。

容姿で選ばれたのが殆どの理由だろうけど
なんせこいつら、実は足が速かった。


「そういやすばるは去年も耳付けてたよなぁ」

「あぁ!そういやそうやんなぁ
  どうりで抵抗感が薄いと思ったわー」


「ホントはねぇ、ネコ耳にゴスロリとか着て欲しかったんだけどぉ…走りにくいからダメって言われちゃってぇ…」


「あっっぶねぇーーっ」


へぇー…ゴスロリか…
俺としては見てみたかったけど
本人は心の底から安堵していた。


「マルちゃんネコ耳だけでええのん?」

「あとぉ、尻尾も付けるでしょー?
  ニノちゃんは黒い服がいいかなぁ」

「んー……スカートじゃないならいい」


耳と尻尾を付けただけでも十分可愛いけど
運営側も盛り上げ方を分かってるよなぁ


この企画もそうだった
生徒会長となったあの男が初めに仕掛けたイベントは今までとは全く違った切り口で
そして今の時代の流れに乗っかって

なんて言ったけ?

くらうど……なんちゃら?とか言うので
あっという間に学祭の運営資金を手に入れ
みんなが食いつくような賞品やら企画に
学祭への期待や意欲を急激に底上げした。


カズに目をつけたのは気に入らないけど
本人までやる気にさせてしまったのならしょうがないし、俺の出る幕でも無い…


とりあえず、ずっと気になってた事を
聞いてみようかな?


「…ね、カズ」


「ん?」


「おまえがネコ役やるの納得してた?」


「んーー……」


「ククッ、やっぱしてないんだ」


予想通り…ってか、普通嫌だよな
恋人が野郎に追い回されるなんて…


「不貞腐れてたけど…でもしょうがないじゃん」

「なんでやるのか言ってないんだろ?」

「言ってないよ」

「そっか(笑)だからかー」

「ん?なによ」

「いや、べっつにー」

「なんだよぉ」


カズからじゃ見えない所に
くっきりと付いていた。

うなじから見える紅い印は
独占欲の証


余裕無いんだね…まぁ、そりゃそっか
当の本人は無自覚過ぎるしなぁ


無理矢理付けられたネコ耳に
耳まで赤くなって照れてるあいつを
可愛いなぁと見てても前のように
胸の苦しさはもう感じない

乗り越えられたんだろうね
友達としては勿論好きだけど…



───失恋を癒せるのは
          新しい恋だと思わね?────



挑発するみたいに言われた言葉が
ずっと胸につっかかっている。



にしても……本当にこれだけ?
ネコ耳付けて逃げるだけでいいのか?

あの不敵に笑ってた顔は…
ぜってぇまだ何か企んでると思う。

漠然とした不安がずっと拭えないまま
とうとう明日は本番だ。


無事に終わってくれればいいけど…



あ、あと…そうだ


「つぅかさ、おまえらのメインはライブだかんな?大トリなんだから忘れんなよ?」


「あったりまえだのクラッカーや!」

「わかってるっ」


「あたしも見に行くわね♡」

「マルは…いつまでそのキャラなん?」

「なんか楽しくなってきちゃった♡」

「へぇ……目覚めたんか」

「んふ♡」


お祭り前はみんな無駄にテンションが高くなる。

時間かけて準備しても当日になれば
あっという間に終わってしまうから

学祭終わったら
2年だって受験に向かってくだけだし…
だから全力で楽しみたいんだよね


そういえば……

明日、先輩は見に来るのだろうか?
メールで聞いてみる?

いや、きっと来るだろう
俺が誘わなくたって……



足踏みしたままの想いは

今日も進む事が出来なかった。








17日中に終わらなかった…( ̄−ω− ̄)
だから開き直って長くする!←なにそれ