BLです

ご注意ください










また…

オレは、やったのか……


……カズ、ごめん
ごめんなんて言葉だけじゃ済まされないけど

でも、ごめん…


……どうしたらいいんだろう
大切な人をこんな目に遭わせて

自分の知らない自分が
おまえに何をしてるのかすら分からない



唯一、知る術は
目を覚ました時に広がる残酷な現状。

あの残骸を見れば惨いのは一目瞭然だった。




大丈夫、大丈夫だから
全然平気だよ
…ちゃんと、ちゃんとね…気持ちいいから

だから大丈夫……ね?まーくん




そんなに綺麗な顔で笑わないで


なんて事ないように…
オレを傷付けないように……


慈しむような笑顔は
オレの胸を締め付けるだけ締め付けた。



オレ達……

本当は離れた方がいいのかも……


そんなの、絶対に嫌だけど

でも……
おまえの為にも…

このままおまえを壊してしまう前に



カズを、手放さなきゃいけない……




 







「ゆっくりでいいから
  話してよ…ちゃんと受け入れる」


「…受け入れ難い、信じられない事でも?」


「あぁ、勿論」



俺の強い意思が後押しになったのか
1つずつ、自分の見たもの全て
ニノは話してくれた。




翔ちゃんにさぁ、相談したじゃん?
ハロウィンの時の事…

あの日から1度も変な風にならなかったし
なんか変なさ、媚 薬 みたいなもん?
間違って食ってあんな風になったのかと

そんなもん何処で食ったんだよ!なんてさ
突っ込んでそれで済んだつもりだったの

それから暫くは何も起こらなかったし、いつも通り何も変わらない日常で、アレなんだったんだろね?都市伝説レベルだなって笑って……


でも2ヶ月…経ってない位かなぁ
あいつの態度に違和感を感じたの。

はじめはあいつも隠してたんだよね
自分に起こってる異変を把握出来てなかったんだと思う。
本人すら気のせいだと思って…いや、思いたかったんだろうね…

俺も、違和感を覚えただけで
最初はあまり追求もしなかったんだ。

でもまたひと月、くらいかな?
また何かがおかしい気がして
あいつを問い詰めたの…

で…
やっと自分がおかしいって言うの

時々、記憶が無い時があるって
それで気がついた時は部屋がめちゃくちゃになってるって言うの

俺、どうしちゃったのかなぁって泣いてさ…

確かにね、たまに部屋の模様替えしてる時があったから…あぁ、その前にめちゃくちゃになってたんだなって合致してさ…

だから…俺が見ててやるって言ったの
傍であいつの記憶が無くなるのを見てやろうと思って

おかしくなってくる前触れは何となくわかるって言うからその時を待って……それで…



そこまで話すとニノの身体が突然
カタカタと震え出した。



「ニノ!大丈夫か?無理すんな
  話せるまでちゃんと待つからっ」


「だいじょうぶっ……」


「でもっ…顔 真っ青だし…」


何をそんなに怯えてんだ?
おまえ、一体 何を見たんだよ……


「ごめっ、ちょっと…水、くれる?」


「あぁ、待ってろ」



急いで持ってきた水を飲むと、ニノはちょっとだけ横になってもいい?と言うから、今日はもう無理だろうと思いながら横になったニノの頭を撫でてやった。

そうすると、俺の手に安心するような顔ですり寄って来る ニノから出た言葉は



「あれは…ケモノだ……」



一瞬、何を言ってるのか分からなかった。



「あいつね……あいつは……」


「うん…」



ギュッて強く握り締めてた拳を
上から包んでやった。



「紅い眼を…してるの」



「え…?」



あかい、め?

けもの?



ニノから発せられた言葉…
それは俺が今まで生きて来た中では聞いた事の無い本の中の世界みたいな、そんな話。




「俺ね…俺……あいつに喰われてんの…