BLです
ご注意ください
遠くで泣いている声が 聞こえる
まーくん…?
泣いてるの?
よく…昔はさ
お互いに平気で涙を見せあってたよね…
いつからか、そう言うのが
急に恥ずかしくなって
遠ざかっていくのが
俺は大人になっていく事だと思ってて
でもおまえは ずっと変わらず
俺に全てを見せてくれていた
それは俺の誇りで
横を見たらおまえが隣に居てくれる
それが俺の全てだから
だから……
泣かないで…まーくん……
「ぅぅっ……グスッ………っ、カズっ」
「……まぁくん」
「カズっ!だ、大丈夫?!」
「ん…大丈夫
……なに、泣いてんだよ」
「だって!……また、オレっ…」
何度も…何度も…
起きた時は必ずおまえは泣いている…
瞳に溜まった水分は何度目の決壊?
また、溢れ出て…壊れちゃったみたいだ
そんなにいっぱい出すと
明日、目が腫れちゃうから
もう泣かないでよ……
手を伸ばして拭ってやれば
その上から大きな手に優しく覆われる。
綺麗な涙…
俺を想って流してくれるその涙で
癒されていく…だから大丈夫なんだよ?
俺だけの涙が愛しい
そんなちょっと異常な感情さえも湧いていた。
「ん…なんじ?
今日、昼前に迎え来る…」
「まだ、大丈夫……風呂いこ?
綺麗に洗ったげるから……」
「ん…」
当たり前のように手を伸ばせば
壊れ物みたいに優しく抱き締められて
そのままゆっくり抱き上げられる。
初めは恥ずかしくてしょうがなかった事も
今じゃだいぶ慣れた自分が居て…
照れ臭いのはずっと変わらないけど
こいつがこうしたいと思うなら
好きにさせてやりたい気持ちのが勝った。
これからもずっと
これが当たり前になるのだろうか?
ずっと……おまえはそのままなの?
……やめよう
いくら考えても答えが見えないものに囚われるより、今出来る事だけを見てればいい
それしか、出来ないんだから……
抱き上げられた肩越しには
昨夜の情事の跡が 目に入ってくる。
また、買い直さなきゃ……
きっとマットまで染み込んでるはず
荒れ果てたような状態の寝具。
本当に昨晩、あの場所で
愛の行為があったのかと疑いたいくらいに
めちゃくちゃで、荒れ放題だった。
余計なものなんて
全部、見えなくなったらいいのに…
まーくんの肩口に顔を埋めて
ギュウッて強く目を瞑った。
絡まって 絡まって
絡まり過ぎて…
雁字搦めになってると分かってても
離れる事なんか出来ないなら
この腕から逃れようなんて
きっと、一生かかっても思わないのなら
俺は喜んで
おまえの 好餌 なるよ……
続