BLです

ご注意ください









「カズ、ほらぁ
   今朝 潤と約束したんだろ?」


「ん…あぁ……ぅんー…」


「別に俺は良いけど、潤拗ねちゃうよ」


「…わーってるょ」


「送ってこーか?」


「ンフフ…隣だよ?」


どんだけ 甘やかす気よ?


そんな目線を送ると
それでもまーくんは心配そうな顔で
手を差し伸べて


「じゃ、早く起きろって
  あとちょっとで帰ってくるから怖くないよ」


「ん……ぃや、別に怖くねぇし」


「クフフッ  そう?」


もう大丈夫なの?って目だけで窺われるのには
慣れてきて、そろそろ勘弁して欲しい


まーくん・・・

そんなに心配しなくても
俺、もう大丈夫だよ


そういくら言っても
優しいおまえはずっと気にかけてくれる。


あんなことがあったのは
おまえのせいなんかじゃないのに…



「じゃあ、ご馳走さんでしたぁ」


「またね、おやすみ」


「おやすみ~」


結局、玄関を出て
俺が自分ちに入るのを確認するまで
まーくんは見守っていた。


戻ってきた家の中は 誰も居ないのに
電気は煌々とついていて
小さくホッと息をつく。


潤君が バイトへ出る前に
必ずそうしていくのは俺が心配だから。



俺・・・・2人に甘えてばっかだね

そろそろ
どうにかしなきゃダメだよなぁ・・・



あの日の事を
忘れる事なんて出来ないけど

このまま2人に心配ばかりかけているのも
気後れしていて


ホント・・・どうしたらいいんだろ


まるでロールプレイングの主人公みたいに
答えの見えない迷宮を彷徨っている。




ーーーーーあの夜は蒸し暑い夜で…




『俺、男だよ?・・・・大丈夫
 こんなの、 犬に噛まれた位に思えば
 どってことないよ・・・だいじょうぶ』


それでも 2人は真っ赤な目で
俺のことを包み込むように
力いっぱいに抱き締めてくれた。


暫くの間
張り付いたような笑顔でしか
笑えなくなった。



俺は、
暗闇が怖い

背後から話しかけられるのも・・・




「ただいまー
  カズ、帰ってる?」


「スー・・・・」


「なんだ、寝てんのか
  またこんな所で寝て…風邪引くぞ」



フワリとした浮遊感を身体に感じて
薄っすら目を開けると潤君の顎が見えた。



……あれ?
潤くん、帰ってきた?

起きて おかえりって言わなきゃ…


そう思うのに瞼が開けられない。


いーや…このまま寝ちゃえ
風呂も入ってきたし…いっかぁ…


心地よい腕の中で
そのまま落ちていこうとすると



「カズ、好きだよ・・・」



頭を撫でてくれる優しい手を感じ
自分に都合の良い
切ない声が聞こえた気がした。



全ては自分次第なんだって
分かりきっている


それでも

身動き出来ないのは・・・・・



2人の事を手放したくない
浅ましい欲が邪魔をしているせいだ



だから


眠りの底へ完全に落ちていく中で

唇に柔らかい感触がしたのは


気のせいだと・・・・思えばいい