BLです



ご注意ください









「赤くん!!!!!」



真っ青な顔の紫の後を
追いかけて部屋に入ると

赤くんがベッドの上で苦しんでいた。


「どうしたの赤くん!!
  どこが苦しいの?!」


「き、ぃ・・・み、どり・・・」


心臓を抑えて苦しそうに俺達を呼ぶ。


どうしたらいい?!
何か!!・・・クソッ

なんでっ・・・・何も、出来ないんだ!


「赤くんっ!!
  しっかりしてよぉっっ」


紫が縋るように泣き叫んでいる。
自分の無力さに嫌気がさす。


「きっ、ぃ・・・」

「なに!?」


「ゆめ・・・で、死ん、だ・・・
  ハァ、ァッ・・・・な、まぇ・・・」


「なまえ?名前がなに?」



「・・・・・・・・ショ、ッ!!」
 
「赤くん!!」
「赤君ダメだ!!」


「やだ!!
  赤君 俺を置いていくなよ!!」


「ヴッ・・・む、ら…サキ

 ・・・・・・・・す、きダョッ」


最後の赤くんの顔は
紫を愛おしそうに見つめて
微笑んで

紫に手を伸ばし、頬へ力無く触れると

そのまま・・・・



息を、引き取った・・・・




「あかくん!!!!!!!」




そして、暫くするとやっぱり
赤くんの身体も消えていった。

消える瞬間は
身体全体が光に包まれていくようだった。


どこか、神々しいような
まるで・・・天に昇っていくように

消えていった。



「これで、青くんと赤くん 二人共
  同じように消えていった・・・
  赤くんの仮説は当たってたんだ・・・」


「きっと・・・
  みんな同じように消えていくんだね」


「うん・・・」



赤くんが消えた後、紫に全てを話した。


ショックのあまり心を閉ざすように紫は
赤くんと過ごした部屋から出て来なくなった。



緑は・・・・



「ャアッ!・・・モッ、ダッメェッ!!
  あァっ!・・・・・ンァァっ!!」



乾いた音が部屋中に鳴り響くほど
腰を打ちつけられ

何かに取り憑かれたように
緑は何度も何度も

俺に 沢山 の自分を 注ぎ込む。



目の前で 大切な人が
消えていった・・・・



その光景は
俺達の心を

暗闇が覆い隠すように

全ての希望を失わせ
これが現実だと知らしめた。


絶望の淵に突き落とされて
再び立てる気力が


俺たちには、もう・・・ない



「きぃ!黄ぃ!!・・・ンッ、クッ、ッ!!」



こんなに抱き合っても

いつか・・・・
おまえとは一緒に居られなくなる。


もう、何をしたって
どうにもならないのなら


この、行為ですら
意味を成さないのかもしれないのに



抱き合っていたい

愛されていたい



だから俺も求めた。












『お待ちください!後生ですから!』


『すまないっ……今生の別れだ。
  それがあなたの為なんですっ』


『いやですっ
  そんな事言わないで・・・』


『・・・・あなたと、私では
  身分も、住む世界も何もかも
  違い過ぎるっ・・・
  俺と居たらきっと不幸にするだけだ』


『あなたと一緒に居られないのなら…
  私はこの世に居る意味すら無くなります』


『・・・そんな事を言わないでくれ
  あなたにはちゃんと幸せにしてくれる人が
  居るから・・・私の事は忘れて下さい』


『・・・・ばか』


『馬鹿でいい、だから、ね?』



『・・・・いや、です』


『ーーーさん!!』










「・・・・ん…」


目を開けると
緑の寝顔が目の前にあった。


あぁ・・・
いつの間にか、意識飛んでたんだ


周りを見渡せば
グチャグチャだったベッドも
自分の身体も綺麗になっていた。


あんなに抱き潰しておいて
やっぱり優しいから

激しく感情をぶつけられても


ただ、愛おしい・・・



今見ていたのは
またあの夢だ。

2人の間に何か起きたんだろうか
最後、あの人は何を叫んでたのかな


そういえば
夢の中の自分の名前も相手の名前も
これだけ何度も見ているのに
1度も聞いた事がない。



名前・・・・・


夢で、名前・・・・・



脳裏に一瞬で
あの日の赤くんがフラッシュバックする。


「夢で死んだ、名前」と
最後に俺に伝えたかったのは
その2つ・・・・


名前がなんだ?

大事な事を残して
彼は消えていったんじゃないか?



「・・・・・まさか」



青くんの残したのは
夢で自分が死んだこと

赤くんが残してったのは
同じように夢で 死んで、最後…


自分の本当の
名前が分かったんじゃないのか?



名前を知る


死ぬ前に?
死ぬ時に?

あれだけじゃ、分からない


でも、もしっ
何かの合図なんだとしたら!



いや、でも・・・



結局、結末は変わらないのなら

分かったからって、さ・・・・



・・・・それでも

赤くんは伝えなきゃって思ったのかな・・・


何か 俺たちに
希望を残してくれたのかも?


そのひとつの可能性でも
今の俺等には大事な事なのかもしれない


悲しんでる場合じゃないんだ


折れた心をもう一度

奮い立たせなきゃダメだ



気怠い身体を持ち上げるように
起き上がった。












つづく