BLです


ご注意ください








突如として始まった
俺達の奇妙な生活は

暫く、変化もなく続いている。


あの日から
どれくらい経っただろ?

もう よく分からないな・・・

でも、だいぶ経ったと思う。


青くんが数えてるって言ってたけど
知ったからって何か変わる事はないし

それを聞くのも
なんだか少し、怖い・・・


このままずっと
ここに居なきゃいけないのかなぁ・・・



ありえない事ばかりの場所で
生活をしていく為に
ルールがいくつか出来た。


全員が最初に目覚めた部屋
ココはこの屋敷の始点の場所となった。


毎朝、起きたらまずココに来て
全員揃ったら今日やる事を決める。


1つ用事が終わる度にココへ戻り
また違う場所に行く時は
この部屋に用意したノートに
行く場所を知らせてから向かう

という決まりを作った。


連絡する術がないこの広い屋敷で
1人で行動するのはリスクも高い。


なるべくなら1人ではなく複数で動く
という決まりが出来たのは
緑が屋敷で迷子になったのが
何回目の時だったろう?

方向音痴の緑はしょっちゅう
迷子になってみんなを慌てさせた。

緑をいつも1番に見つけるのは俺で
そんな事がやたらと多いせいか
いつの間にかセットにされた俺達。

いつもなるべく一緒に行動しろよと
赤くんと紫に釘を刺されていた。


そもそもさ・・・
あいつの好奇心旺盛なのが悪いんだと思う

すぐどっかに走って行っちゃうから
追いかけるのも大変なんだよ


「黄ぃ!きぃーー!
  こっち来てみてよ!」


「もーーっ さっさと行くなってば!
  ・・・・・どうしたの?」


緑は緑で俺が追っ掛けてくると
当たり前のように思ってるし


「ほら見て見て!
  川なのにあの魚さ、海の魚じゃない?」


「えーー?ウソだぁ」


「ココはそれだってありえるだろ?」


「まぁね・・・
  でも俺、魚はあんまり分かんないよ
  魚は青くんのが知ってるんじゃない?」


「あ、そっか。・・・でもさ
  なんか本当に不思議な事ばっかだよね」


「ほんと、驚くのも疲れるくらいにね…」


「自分の事は何にも分からないのに
  元々持ってた知識は何となく覚えてたりさ」


「ぅん・・・だよなぁ
  青くんがパン作れるかもって焼いたのも
  驚いたしなぁ…アレ美味しかったね」


「うんうん、美味しかった!
  黄ぃだってすげーじゃんっ ピアノ!」


「あぁ、それね・・・」


ほんと、自分でもビックリした。
勝手に指が動くんだもん
曲だって、覚えてないのに・・・


きっと、記憶が無いけど
俺の持ってる知識のひとつなんだろう

あの時から、時々
ふらっとピアノのがある場所に足が向くと
暗くなるまで弾き続けていた。

緑や、たまに他のみんなも
楽しそうに聴いてくれる。

娯楽が特に無いこの場所で唯一の
楽しみだと紫が言ってくれたっけ・・・


「黄ぃ、俺ね
  ココに来た意味とか分からないけど
  でもココでみんなに会えて良かったと思う」


「・・・うん、そうだね」


俺も・・・
同じ事考えてたよ


川べりに座った緑につられて
俺もその横に腰を下ろした。


「なんかさ、不思議なんだけど
  ここで初めましてだったはずなのに
  一緒にいる時間が長くなる程
  前から一緒に居た気になるんだよなぁ」


「あ、それ凄いわかる」


それはきっと気のせいなんだろうけど
みんなと居るのが居心地良いからかな?


青くんはいつものんびりマイペースで
おじいちゃんみたいなのに、何かある時は
機敏に動けて、そしてココぞという時に
みんなをまとめてくれるような言葉が出る。

赤くんは凄く頭の良い人。
だから普段は赤くんがリーダーシップを取ってくれてまとめてくれる。
の割に、たまにへっぽこな所もあって面白い。

紫はすげーーー熱い!
超真面目なのかな?
なんでもきっちりやりたがるっつーか
一生懸命みんなの為に考えてくれる。
でもヤンチャな所もあってなんか可愛い奴。


緑は・・・・


横で釣りを始めた緑を盗み見る。

なんだろう?
ホントにこの人は会った時から
初めて会った気がしなかった。

ここで会う前から知り合いだったのかも?
その考えは今もある。

理由なんて分からないけど
でもそんな気がしたから・・・

こいつが俺に抱き着いた時に
包まれて感じた匂いは

どこか懐かしい気がした…気がする。

それだけなんだけど
近い存在だったのかな?ってお互いに思ってる。


にしてもさ?
超手のかかる奴だよ、おまえって・・・

俺っておまえの
世話係かなんかだったんじゃない?


知らない間に
じっとり睨み付けてたみたい

気がついた緑が
「なに?!怖いんだけど!」って
笑いながら怖がってた。


「なんでもなーい」

「クフフ、なんだょそれ」

「ほらほら、引いてるよ」

「ぅお!きたきたー!」

「今日の夕飯5人分頑張って」

「黄ぃもやれよー」
  
「えー・・・」

「えーじゃないよ
  あ!もぅ寝るなって!」


ゴロンと寝転んで空を見上げた。

相変わらず空は明るいけど太陽は無い。

風も吹くけど気温もいつも一定だ。


快適っちゃ快適なんだけどね・・・


「なぁ、黄ぃー?」

「んーー?」


顔を見ず生返事で返す。

あぁ、ほんとこのまま寝ちゃいそう…
なんて考えてたら


「俺ね、おまえと会えて…なんつーか
  嬉しいよ・・・凄く、良かったなって」


思ってもない言葉が
聞こえて来てドキッとした。


「/////////・・・・・ふぅん」


「/////////ばかっ!!」

「はぁ?なんで!!」


「俺の一世一代の告白をふぅん…て!!」

「だって//////急におまえが
  そんな恥ずかしい事言うから!!」


「え?なに?照れてたの?」

「ばっ///////うるせぇーーっ」


「ぷ!耳まで真っ赤じゃんっ
  可愛いなぁ、黄ぃちゃんはー」

「良いからさっさと釣れや//////」


ほんとは・・・

緑の気持ちが
すごく 、嬉しかった・・・


俺も…とか言えないひねくれ者に
可愛いとかって、緑って変な奴だ。


ちゃんと伝えてくれた気持ちに
返さなきゃって思ったけど

もう緑が釣りに夢中になってて
タイミングを逃してしまった。


あぁ・・・俺のバカ。意気地無し。



結局、5匹全部 緑が釣りあげた。
今日の任務は完了だ。

バケツに活きのいい魚を泳がせたまま
あの部屋に戻る為に 歩くのも
今は なんだかくすぐったい気分。


恥ずかしさから
緑の顔もちゃんと見れずに
地面を見つめて歩いていたら

突然、少し前を歩いてた緑が急停止した。


え、なに?って顔をあげた途端

慌てた顔の緑に
腕を掴まれ 物陰に連れてかれた。


「ちょっ、なになに?
  急に!どうしたんだよっ?」

「シーーー!!
  ちょっとアレ!あれ見てよ!」

「ん…なに?」


緑が指差した方へ視線を向ける。
そこは、洗濯を干す場所だった。


そういや・・・
今日はみんなのシーツを洗うって
紫が張り切ってたっけ?


言ってた通り
みんなのシーツが沢山干してある。

それが何だよ?
って目を凝らして見ると

風に吹かれ、シーツがなびいた


その・・・

隙間から見えたのは・・・


赤くんと紫が居て

何故か



2人の唇同士が、くっ付いていた。





・・・・・・え?









つづく