BLです
ご注意ください
自分の過去なんて忘れ去ってしまおう
そんなふうに思っていた。
だからって
その過去を無かった事には出来ないのに
「俺さ、中学ん時すげぇ荒れてたの
地元じゃ結構有名なくらい?
ヤンチャしちゃってたというか・・・」
今更、自分の口から前の自分の話をするのは
結構恥ずかしいもんだと気付いて
段々と声が小さくなっていく。
「ぶっ!ぉまっ
ヤン キー て事か?マヂかよ!?」
「だからあんな強かったんだ・・・」
驚く2人を見て俺がここで見せていた自分は
昔とは全く違うんだなって
少し、おかしくなった。
「髪の毛は真っ赤だったし
何が気に入らねぇのかって位、毎日喧嘩
今思えば…反抗期を拗らせてた感じかな」
「今じゃ考えられないな」
「そう思ってくれるなら良かったよ
思い出すとすげー恥ずかしいし(笑)
でも、このままじゃダメだって
なんか、思っちゃったんだよね・・・」
あの日
おまえと幼馴染を公園で見つけて
気持ちが晴れていくような
おまえの歌を聞いたのも大きかった
「それで俺を知ってる奴が居ない高校選んで
やり直してみようってココに来たんだけど
そんな簡単に知らない奴が居ない場所って
無いもんだね」
「誰か、知ってる奴がいたの?」
「あぁ・・・しかもそいつの事も
殴 った事があるらしい・・・」
「・・・・まさか」
ずっと黙って考え込むように聞いていた
先輩が何か気が付いたように顔を上げた。
「ふふっ、先輩は頭が回るから
見当ついちゃったか・・・多分あってる」
「じゃあ・・・やっぱ風間か?」
「そう…でも、俺は全然覚えてなかった
イラッとしたらすぐ手が出てたし・・・」
「はちゃめちゃだなー」
「まぁ、はい・・・反省してます」
「じゃあ、風間が同中だってのは・・・」
「言われるまで知らなかった」
そのせいで、ずっと・・・
俺はおまえに悪い事をしてた。
「カズ・・・あのな・・・
あの手紙、ずっと風間が入れてたんだ」
「ん・・・それは聞いた」
「それって、俺のせいなんだ・・・
あいつがさ、お前に目を付けたのは
俺がお前を好きだって気がついたから」
「なんで?」
「復 讐・・・かな」
「そんな・・・」
でもさ
自業自得なんだよ・・・
それだけ色んな人を傷付けてきたんだし
因果応報なんて良く言ったもんだ。
それなのに一瞬でも
甘い誘惑に心をぐらつかせて
本当に大切な人を巻き込んでしまった・・・
・
・
・
「なぁ、風間・・・
バレたなら潮時って事なんだょ
もぅやめよう・・・お願いだから」
「フフッ・・・ほんっと変わっちゃったね
昔の君なら実力行使だろ?・・・ねぇ
ほら、押し倒して自分のモノにすれば?
・・・全て力で解決してきたんだろ?」
「・・・もぅ、守る以外の手は出さない」
「はっ! まるで別人じゃん!」
「俺が、悪かったよ・・・ごめん」
「・・・はぁ?なにそれ?
ふっざけんなぁっ!!」
ガシャーーーン!!!!
「くっ・・・・っ」
「ほら、ムカついただろ?
・・・殴れよ。また俺の事殴れよ!!」
「・・・どうしたら、いい?」
「チッ・・・・そうだな」
それで、あの日
カズを家に誘って
公園に居る2人と鉢合わせるようにした。
初めから
カズが俺のモノになるなんて事は
あいつのシナリオの中には無くて
むしろ、全てがバレるのを狙ってたんだ。
関係が修復出来ない位の破滅を
あいつは望んでいた・・・・
あの時見た
風間の冷え切った瞳
薄暗い部室の中
突き飛ばされた体は 新聞の山に埋もれ
見下ろされたまま動けなくなった。
でも、その瞳は
過去の自分と重なってしまい
だから
いくら何を言っても届かないと諦めた。
「俺が、カズから嫌われて傷付くのを
あいつは望んでたんだと思う・・・」
「・・・・なんだょ、それ」
「だからごめんな?長い間おまえに
怖い思い沢山させて・・・ずっと・・・
俺がした事、おまえは関係ないのに」
「潤くん・・・」