BLです。


ご注意ください。










放課後
速攻風間を待ち伏せして見張り開始。


こういう時デカイ体は厄介だ。

コソコソ隠れてたら学校の中じゃ
余計に目立っちゃって顔見知りや友達に
何やってんの?なんて目で見られてしまった。

余計にドキドキしながら見失わないように
後を追って行くと…
新聞部の部室へ入っていってしまった。


あーー、部室には入れないなぁ
出て来るまで待つしかない、か・・・・


なるべく誰にも見られないような場所を探す。

とは言ってもこの辺はこざっぱりしていて
隠れるのに良さそうな所があまりない。


あの、物置の裏なら見えないかな?


ちょっと狭かったけど
細さを生かしてゆっくり入っていったら
スッポリ収まった。


ふぅ・・・・
ずっとこの体勢はツライかも
風間が暫く出てこなかったらどーしょ・・・


でも、それは要らぬ心配だったようで
隠れてからあまり時間を待たずに
誰かが部室の方へ歩いてくるのが見えた。


ん?・・・んーーーー?

あいつは・・・・・あ!入った!


風間が居る部室へ入って行くのを見て
あれ?と疑問に思った。


あいつ・・・新聞部じゃないよな・・・
なんであそこに入って行ったんだ?

うーーーん・・・ 
兎に角これは動きがあったって事だよね?


しょうちゃんに状況を知らせようと
ポッケに手を伸ばした時




ガシャーーン!!



突然部屋から大きな音がして
驚いて顔を上げた。


なに?!え!

なっ、何があったんだーー!!?


中の状況は全く分からないけど
ただ事ではないと慌ててしょうちゃんに
メールを打った。


ドクン、ドクンと心臓が煩い。


あの中でいったい何が起きてるんだ?

でも、何があったのか分からないにしろ
風間とあいつの関係が良いものだとは
とても思えなかった。


ブブっと携帯が震えた。

確認するとしょうちゃんからで
『とりあえず2人が出て行くまで隠れてろ
  見つかったらヤバイと思う』

それに『わかった』と短く返した。


ひとつ、あまり推理とか得意じゃないけど
思った事がある。


風間を脅して、あの写真を指示したのが
あいつだとしたら・・・・ん?したら?

・・・・・だとしたら何なんだ?


うーーーーーーん・・・・・
・・・・ココまで、何かはキてるのに

その後がなぁ・・・わっかんねぇ!


あーーー・・・・ダメだ
やっぱ俺には推理とか向いてない・・・・


こういうのはしょうちゃんが得意だからと
すぐ考えるのを諦めた。


だからこそ、すぐにでもココから離れて
この事を話したいという気持ちに駆られる。


まだ出てこないのかなぁ・・・
何してんだろ?・・・先に出ちゃダメかな?


せっかちの性格が待つ事を焦らす…
この緊張感にも耐え難いものがあった。


あそこまで見られなきゃ大丈夫かも・・・


しょうちゃんの忠告を無視して
素早く隠れてた場所から出ると
ダッシュでその場を離れていった。

角を曲がる時、後ろを振り返っても
まだ出てきてないのを確認したし

きっと大丈夫だ・・・・たぶん。

急いでしょうちゃんのいる場所を目指した。


廊下の角を曲がって階段を登ったら
しょうちゃんが待っている教室だ!急げっ


でも、曲がった途端に

ドンっと
強めに人とぶつかってしまった。



「ってぇーーー・・・・
  ごめんごめん!大丈夫だった?!」


「いってぇ・・・
   ・・・ぃえ、だいじょ・・・あれ?」


「あ!!
  ・・・・・か、カズっ!」


「まぁくん?・・・な、なんだょ
 そんな慌ててどうしたの?あぶねーって」


うわぁ・・・

なんっつータイミングで会うんだよぉ
俺ってやつは・・・間が悪いにも程があるっ


「あっ・・・はっはっはっは・・
   ごめん、急に飛び出しちゃって・・・
  ・・・けっ怪我とかしてなぃ?立てる?」


でも意外と普通に話せてる自分に
良かったと胸を撫で下ろした。

次にどんな風に顔で会えば良いのかって
すごく不安だったから・・・・


「ん、大丈夫そぅ・・・帰らないの?」


「あっ…ぅん・・・帰るょ?」


「?・・・なんか、あったの?」


心配そうに覗き込まれた顔の近さに
思わずドキっとしてしまった。


「え!////ぃやっ!な、なんにもないょっ」


「ふぅん?そぅは見えないけど・・・」


あまりに挙動不振な俺を
完全に疑った目で見ている。


だよね・・・・
俺だって今の俺、疑っちゃうわ・・・


「あ、カズは?もう帰るの?」


「あ、うん・・・ちょっと人待ってるけど」


「そうなんだ・・・誰かと帰るの?」


「・・・・ぅんと、その・・・」


今度はカズが歯切れの悪い言い方になった。


「なんだょ?」


色白の頬がほんのりと
ピンク色に染まり

俯きながらボソッと
「潤君・・・」と言われると
一気に胸が締め付けられた。


そっ、か・・・
そーだった・・・・そうだよねぇ

2人は、付き合ってるんだもんな・・・

あ、俺・・・いま・・・

何・・・してたんだっけ?


突然、体の力が抜けて行くような感覚に
頭の中が真っ白になっていた。



「まーくん?・・・ねぇっ どうしたの?!
  なにがあったの?・・・・ねぇ・・・
  やだょ・・・・泣かないでょ・・・」



え・・・・泣く?


苦しそうな顔で俺の事を見るカズが
力が抜けてへたり込んでしまった俺に
手を伸ばし、いつの間にか流れていた
涙を拭ってくれた。



「カズ・・・・」


「ん?・・・なに?
  もぅ、急にどーしたんだよぉ」
  

突然泣いた俺に戸惑いながらも
優しい顔で、いつも俺がしてあげるように
頭を優しく撫でてくれた。

その手にホッと安堵する。


一緒に愛おしい気持ちが胸に広がって

気がつくと・・・・


いつの間にか自分の胸の中に
カズを抱き締めていた・・・・



「カズ・・・行くなょ・・・
  
  ・・・松本の所になんか、行かないで」