BLです。
ご注意ください。
「くそ・・・・・」
放課後、新聞部の前に人集りが出来ていた。
気になって近寄ってみたら
昼に見た新聞とは違う記事に変わっていた。
また、カズの事だ・・・・・
なんで?
あいつが何かしたのかよ?
何でこんな風に書かれなきゃいけないんだ?
あんなに頑張った事がこんな事になるなんて
そんなの、おかしいよ・・・・
腹の底から煮え滾るような気持ちが湧き上がる。
あいつ大丈夫かな?
今すぐ慰めてやりたい
でも・・・・
ギュッと耐えるように拳を握り締めた。
もし俺が練習サボって帰ったら
あいつは絶対に怒る。
きっと自分のせいだって思う
だから俺はちゃんと練習に出なくちゃ・・・
とは思うけど・・・・
こんな気持ちのまま
集中出来る気がしなかった。
「相葉君」
不意に背後から声をかけられる。
振り返るとこないだ絡んできた
新聞部の風間が立っていた。
「なんだょ・・・また おまえかよ」
ぶっきらぼうに敵意を出した言い方をすると
風間は薄い笑みを浮かべた。
「そんな怖い顔しないでよ。言っとくけど
この記事書いたのは俺じゃないからね?」
「じゃあ、誰だって言うんだ」
「先輩だよ・・・ったく、俺のスクープ
横取りされて俺も正直ムカついてるんだ」
「はぁ?なにそれ・・・」
「まだ疑惑程度のネタだったのに・・・
俺はある程度信憑性が無いと載せないよ」
「・・・・知らねーよ、そんなの」
勝手なことばっか言いやがって
「こんなふざけたネタにされた側の気持ちとか
考えないわけ?」
冷たい口調になるのを止める事もせず
相手に突き刺すように言い放つ。
「そうだょね…二宮君のアリスの話題性に調子に乗ってしまって凄い申し訳ないと思ってて…それで二宮君探したんだけどもう帰っちゃったみたいでさ、相葉君に声をかけたんだ」
帰ってきた言葉は
意外にも反省の気持ち
また、皮肉たっぷりの生意気な言葉が
来ると思っていた。
「・・・もう、こんな新聞出さないでよ
てか、これ剥がしてくれない?」
新聞部の新聞はしっかりとガラス戸に守られていて、勝手に剥がすことも出来なかった。
「うーん・・・勝手に剥がすのは無理かなぁ
俺に権限ないし、俺の代になるまでは難しいかもね・・・ウチの先輩達ってちょっと過激な所あるから」
確か、ウチの新聞部は何故だかやたら活動的で
学校内のスクープを取り上げるのが有名だった。
それは教師のスキャンダルにまで及んでいて
教師からも恐れられている部だと聞いた事がある。
でも、自分には縁のないものだと
2年間気にする事もなかったけど
身近な人間がこんな風にされて
改めて嫌な奴らだと認識した。
「こんなのガセに決まってんだろ」
「まぁ、半分はね?」
「半分?」
「俺の見立て的には、きっと松本君は
二宮君を好きだと思うなぁ」
その言葉に
何でこいつらは他人の事でこんなに
干渉しようとするんだろ?と疑問になる。
知ったから何だって言うんだ?
「・・・もしそうだとしても
お前らに関係ねーだろ」
「あれ?また不機嫌になったね…相葉君は
幼馴染が取られてしまうのが嫌なのかな?」
そしてまた下世話なことを聞いてくるから
あからさまにもっと不機嫌な態度を示す。
「俺とカズの事もおまえに関係ない」
「ふぅん・・・相葉君って
印象よりも結構頭が良いんだね」
「なんだょ、バカにしてんのか?」
「違うよ、返してくる言葉が冷静だから
意外だって思ったんだよね。むしろ褒めてる」
それってやっぱりバカにしてんじゃん・・・
こいつと話してても埒があかない。
さっさとしょうちゃんに言ってこの新聞を
取り下げるようにして貰った方が賢明だ。
風間を無視してメールを送った。
部活が始まるタイムリミットまで
しょうちゃんを探したけど
見つける事は出来なかった。
部活が終わった後、急いで着替えて部室を出れば
しょうちゃんが待っていてくれた。
「お疲れ!ごめんなー
さっきすぐ連絡返せなくて」
「いた!よかったぁ、待っててくれたの?」
「うん、色々やってたしそんなに待ってないよ」
「あのさっ」
「もう大丈夫、あの新聞はもう無いよ」
食い気味に安心してって柔らかく言われる。
「え!まぢで?」
「雅紀が探してたのって新聞部の事だろ?」
「うん!それそれ!
ありがとうしょうちゃん!」
「あと、新聞部は1週間だけど活動停止」
「ほんとに?!すげー!」
「1週間なんてあいつらには大した事無いだろうけどな、ちょっとあいつら調子に乗り過ぎ」
俺がやきもきしている間に全て片付けてくれた。
やっぱりしょうちゃんは凄い人だ。
これでカズも安心だと思うと
一気に体の力が抜ける。
「はぁーー、よかったぁ・・・・
何から何までありがとう!しょうちゃんっ」
「えっなんだよ/////
別に大した事してねぇって」
「そんな事ないよ!俺には出来ないもん」
「そうか?
まぁ、いちを元生徒会長なんで?」
「ほんと、やっぱり凄いなぁ・・・」
素直に感激して褒めたら
やめろよー///なんて照れてる所が可愛い
いつも頼りになるしょうちゃんに
更に憧れが強くなる。
「これでニノも安心出来るだろ?
早く帰って教えてやれよ」
「うんうん!しょうちゃんは?
帰るなら一緒に帰ろーよ」
「あぁ、駅までな」
さっきまで沈んでいた気持ちが
嘘みたいに晴れていた。
重かった体も軽くなって
スキップして帰れる勢いだ。
「でもよぉ、何で松本とニノ?」
「あーーー・・・」
さっきの風間の言葉を思い出した。
『松本君は二宮君の事好きだと思うなぁ』
好きって・・・・・
どういう好き?
友達としての好きじゃ
きっと無いよね?
カズを、異性の好きと同じように
松本君は好きなのかな?
・・・・あれ?
なんだろ、このムズッとした気持ちは・・・
チクリと、胸が痛んだような気がした。