BLです。

ご注意ください。











「だーーかーーら!!
  なんっで 毎朝毎朝おまえは俺のベッドに
  潜り込んでんだよ!!」


「人肌が恋しい季節だからね」


「んなの、どっかのご婦人とでもアバンチュールしてくりゃ良いじゃねーか!」


引き寄せられた体を突っぱねて睨みつけても 
なんの意味も成さない。

いつも楽しそうな貴族との
朝の恒例となって来たやり取り。


「知ってるかい?最近ね、私がベッドに入ると和也が擦り寄って来てくれるんだ。まるでやっと懐いたネコが甘えてくるようで私の毎晩の楽しみになっていると言うのに・・・・私からその楽しみを奪うと言うのかい?」


「すっ/////擦り寄ってねーし!!」


意識が無い時の事なんて
言われても知るもんか!


いくら言っても俺の意見なんてスルー

やりたい放題の貴族に振り回されて幾日

それでも
少しずつ慣れて来てる自分が怖くなる・・・



「さぁ、毎朝恒例の運動をしようか」


「そんな運動した覚えないから!」


「じゃあ、鎮める儀式を・・・」


「やめろーーー!!」



外に立てたサルーンには滅多に戻らずに
俺が家に居るときはずっと傍から離れない。

何の為にアレを立てたんだ!と憤慨していると
影山に、坊ちゃんが仕事の時は屋敷よりも
あちらにいらっしゃいますよと言われ
いっそ外から鍵でもかけてやろうかと思った。


んな事したら後が怖いしやらないけど・・・






「御前、二宮様、おはようございます」


「あぁ、田中 
  ちょっと今日のベットメイキングは
  ひと苦労やもしれん・・・」


「かしこまりました」


「田中さん、全部あいつのせいだから!」


「二宮様、大丈夫でございますよ?
  いくら汚しても私が全て何も無かった位に
  綺麗させて頂きます」


「汚してないし//////」


「ああっ、それは出過ぎた真似を」


慌てて丁寧に頭を下げてくる田中さんは
いつも楽しそうにニコニコしていた。

山本さんも、佐藤さんも
貴族だけの世話をしてりゃ良いのに
さり気なく俺にまで気を遣ってくれて

影山以外に使用人が増えたのは
ある意味ラッキーなのかもしれない・・・?

そう思えるまでに心を広く持つ余裕が
出てきた自分を褒めてやりたいもんだ・・・


そもそも貴族って言うのはどんだけ偉いんだ?

傍若無人・・・

その言葉がぴったりだと思った。


「ご朝食の準備が整っております」


「あ・・・どぅも・・・」


「なんだぃ?また朝食を抜く気かい?」


「ぃや、食べるけど・・・
  そんなに量が食べれないから」


「君はだからこんなに細くて小さいんだ」


「・・・・喧嘩売ってんの?」


サラリと毒も吐くし
でも本人は至って悪気がないから厄介だ。


あと・・・・


あの時のあの言葉の意味は

未だに分からないし・・・・・




『カズ・・・・・早く 思い出せ』




思い出す?って、なにを?
 



「坊ちゃん?坊ちゃーーん?」


「ん?あぁ・・・なんだ影山」


「いえ、ボーっとしていらしたので」


「ん、なんでもない・・・」


「そうですか?
  ・・・それと後で小動が新作の試食を
  して欲しいと言っておりましたが」


「新作か・・・それは楽しみだな」


いつの間にか止まっていた
キーボードに打ち込む手を再び動かす。


まずいな・・・・・

最近あいつの事ばかり考えている
自分に気がついてしまった・・・・

まんまとあいつの術中に
嵌められているみたいだ。



もう、二度と繰り返したくはない


あんな思いは

二度とゴメンだ


少し考え込む。


そしてスマホを取り出し、
いつも使っている航空会社の
予約画面を開いた。



よし・・・・

今急ぎの仕事は終わらせて
後の仕事はココじゃなくても出来るから



「影山、ちょっといいか?」


「はい?どうなさいましたか?」



警鐘が鳴り止まない


あの場所には
暫く 帰るのは やめよう