BLです。

ご注意ください。









あの日からというもの
日常が急激に変わっていった。


満足して帰って行った貴族は 
その後も色んな場所で偶然を装い 接触してきた。


取引先のパーティー、レストラン etc…
社交的な場所は特に会う。



俺のスケジュールを知られてるのか・・・

もしやあいつ、ストーカーか?



あの日、貴族が帰ったあと
影山が知っている事を全て話してくれた。


貴族には逆らわない方がいいってのは分かった。
腑に落ちない事ばかりだけど・・・・


でも、実際 ここ最近のグループ全体の
業績は低迷気味、落ちてはいないものの
伸びることは無く現状維持がやっとだった。

それがいつの間にか
利益が上がっているのも確かで・・・

これもあいつの仕業なんじゃないかと
影山が言う。


嫌われた途端に
全てが終わりって事か・・・


いつの間にか
勝手に危ない橋を渡っている気分だ。


てか、あいつって
男が好きってわけでもないじゃん・・・

何度も社交場で
女を口説いてるのを見てるし


敢えて見せてる?

・・・・考え過ぎか

それではまるで俺に
ヤキモチでも妬かせようとしてるみたいだ


俺があいつの事を好きならまだしも・・・



「坊ちゃん、坊ちゃん?」


「ん?あぁ・・・なんだ?」


「いぇ、ボーっとしてらっしゃったので
  体調が優れませんか?」


「いや、大丈夫・・・
  もうすぐ着くのか?」


「はい、あと5分ほどではないかと」


「分かった」


どちらにせよ
何か目的があるんだろうな・・・

貴族なんてそんな得体の知れない奴
信用出来るわけがない。



1つ、ビルを買い付けようと向かっていた。
この突如 流れて来た波は逃してはいけない。


流石にこんな所までは来ないよなぁ・・・


いつの間にかあいつの事を
考えている時が増えていたのを
この時はまだ気がついていなかった。



「こちらを、買うのですか?」


「ボロいな、1度潰すか
  ・・・・立地はいいし」


「では、そのように手配を」


「あぁ・・・」



今の俺は後ろを振り返ってる場合じゃない

前に、進むしかないんだ




だから







「俺はおまえと
  戯れている暇はないんだよ」


「その台詞を聞くのは何度目かな?」


「はぁ・・・・
 どうしておまえがこんな所にいるんだ」


「知らないのかい?
 このビルでちょっとした事件があってね
 それを調べにお邪魔したんだが・・・
 まさか君に会えるとは思わなかったよ
 これはもう私達の運命ではないかな?」


「へぇ・・・・」


嘘くせ・・・・・・


「おや?信じてないだろう?」


「それよりココから出る方法考えないと!」


「それは一理ある」



扉の外から影山の声が聞こえてきた。



「坊ちゃん!大丈夫ですか? 
  彼を呼んだのでそれまでの辛抱ですよ!」


「・・・あぁ わかった
 あいつが来るならすぐ出られるか」


「二宮殿、失礼致します。
 御前はそちらにいらっしゃいますでしょうか?」


「いますよ、余裕のある顔してるから
 大丈夫なんじゃないっすか?」


「なら良かったです」


「山本!何故私に聞かずに和也に聞くんだ」


「申し訳ございません
 御前は何があっても大丈夫だと言いますので
 第三者の意見を聞くのが1番かと・・・」


「ふむ・・・それも一理あるな」


「では、御前
 何か必要な物があればお申し付け下さい」


「・・・・扉が開かないのに
  どうやって渡すんだよ」


「足元にある小窓でしたら
  小さい物ならばお渡し出来るかと」


足元を見ると、明かり取り用の小窓があり
腕くらいなら通る大きさまで開けられた。


「あ、ホントだ・・・影!
 時間が勿体無いから俺のiPad入れてくれ!」


使える時間は有意義に使わなくてはと
今出来る最小限の事をしようとすれば


「坊ちゃん・・・
  こちら通信関係が無理そうですね」


古過ぎてWi-Fiなんて
最近のものは無いのか・・・


「そうか、ならやる事もないな」


まったく
今日はとんだ日になったもんだ

まさか古すぎて扉が開かなくなるとは・・・

しかも閉じ込められたのが
こんな奴と 2人きりだなんて・・・・



「なんだ、こんな時まで仕事かい?
 田中にお茶でも用意させよう。
この時間を楽しむのも有意義な時間になるさ」


「そりゃあ・・・・・最悪だな」
 


楽しそうに微笑む貴族を見て

この時 俺は 無事にココから出られるとは
まったく 思えなかった。












つづく
今日の貴族探偵も面白かったー