BLです。
ご注意下さい。
カズの前のグループが終わればいよいよだと
心臓の音がバクバクと煩くなる。
自分が出るわけでもないのに
俺 、今 試合の時よりドキドキしてね?
あまりの緊張感に思わず失笑する。
「雅紀?大丈夫?」
「う、うん(笑)平気」
しょうちゃんにバレちゃう位に出てる?
落ち着けー俺・・・大丈夫
あんなに練習してたし
あいつがトチることはない
落ち着こうと
気が紛れるように違う事を考えてみる。
すると 突然
会場にバチンッと大きな音がして
暗転した。
一瞬のうちに騒つく観客
でもすぐに1つのスポットライトが
舞台に向かって点灯すると
そこには1人の・・・・
あれは・・・・・
女の子?
スポットライトに当たっていたのは
グランドピアノの前に座っている
綺麗な服を着た黒髪の女の子だった。
「あれ、カズ達の順番変わったのかな?」
「ってか、ウチに女子なんて居ないよな・・・
外部の子とかか?」
誰だろうと目を凝らしてみても分からない。
そのままピアノが鳴り始め伴奏が始まる。
俺でも知ってる位に有名な、洋楽のメロディー
そして・・・その子の歌声を聴いた途端
身体中に電気が走るくらいの衝撃が走った。
うそ・・・・だろ?
伸びやかに響く 独特の高音ボイス
印象的で綺麗な歌声は
俺の大好きなモノで・・・・
どう間違えても間違えられない位に知っている
カズの声だった・・・・・
ピアノの音と 声のみで
会場を優しく包むように歌い上げ
みんなが 見惚れるように
カズのことを見ている。
歌い終わると1つ息を吐き
今度は激しく ピアノを弾き鳴らし始めた
急に変わる曲調
それと同時に出てくる 2人
そいつらも 何かキャラクターのカッコをしていて、3人揃うと おとぎの国みたいな世界観を出していた。
ピアノの音に2つのギターの音が加わると
ワクワクするような音色になっていく。
真ん中にいるネコ耳を付けてるヤツが
スタンドマイクを掴み
イェェェェェイ!!
と叫べば一瞬で会場が湧き上がった。
あ、あいつは知ってる・・・・
あともう1人のカッコいい奴は潤君か
もう、誰もがこの得体の知れない3人に
惹きつけられて、音に呑み込まれていく。
周りを圧倒させるような歌声が響き渡り
今までのどのバンドより盛り上がっていた。
俺も、楽しそうに演奏しているカズに
目が離せず見ていると
横に立っていたしょうちゃんが
「マズイな・・・」と呟いたのが聞こえた。
「しょうちゃん?どうしたの?」
何かあった?って聞けば
眉を下げて困った顔をしたしょうちゃんは
俺の手を掴んで引き寄せると
耳元で低い声で唐突に言った。
「こいつらが終わった途端にすぐニノを避難させた方がいい。雅紀のが足速いし何処かに避難させたらすぐ着替えさせる事 、出来るか?」
「え、どういう・・・・こと?」
「あんな可愛い子、ウチに居た?
どこの誰だ?ってみんな思ってる。
周りに聞き耳立ててみろ」
そう言われてさっきまで気にしていなかった
周りの声に耳を傾ければ
あの子超可愛いくない?
だれ?だれ?知ってる?
さっきの声聴いたら男だよな?
俺、あの子なら男でもいいわ
誰だか全然わかんねーよ
終わったら誰だか見に行こうぜ
そんな野次馬めいた声がいくつも聞こえてきて
ドキッとする。
「しょ、しょうちゃんっ どうしよう?!」
このままじゃカズだとバレちゃうよ
あいつが危ないってのはいくら鈍い俺でも分かって、縋るようにしょうちゃんの腕を掴むと
「だからおまえが守れっ」
そう強く言われてハッと気がついた。
そうだ、俺があいつを守らないと・・・・
グッと拳を握って目線の先にいる
魅力的に変身してしまった幼馴染を見つめた。