BLです。ご注意下さい。














俺は傍で見てきたんだ


カズがあいつの事を


ずっと、見ていたのを・・・・



本人の口から気持ちを聞いたのは
だいぶ前の事

それも、どちらかといえば強引に
だったかもしれない


あの時・・・・・


泣いているこいつを
偶然見つけてしまった俺は
訳が分からず、何も出来ず
体は何かに縛り付けられているように
動けなくなってしまった。

立ち尽くす事しか出来ない自分

どうしたんだ?と尋ねても
大丈夫としか言わない

それに物凄くイラつきを覚えて

そして
無性に何とかしてやりたくなった。



その日から
俺はしつこい位にカズに纏わり付いた。


観念して全てを話してくれた時のカズを
まだ、鮮明に覚えている。


でも、今より幼かった俺は

救う言葉も見つけられず

一緒になって涙を流す事くらいしか

出来なかった・・・・・




あれから何年経った?


出来るだけ相談に乗ってあげたいと

何かあればすぐに話を聞いてやってたと思う


でも、俺はあの時と同じで何も変わらない


また、何も出来ないのか・・・・・










「ぉい・・・・もぅやめろ・・・・
  ・・・飲み過ぎだぞ、ほら・・・・」



「もぅっ 、うるさぃなぁー・・・」



このままじゃマズイと
持っている酒を奪い取る。


キッと睨まれたってそんな顔じゃ
怖くも何ともない



「なんなの?強引過ぎない?」



「もぅ・・・・良いんだ?」




なるべく優しく、聞いた。




「・・・・・ぅん、いいの」




「そんな、簡単に諦めるのか?」




「・・・・・・かんたん?」




一気にその場の空気が凍るような目

凄むように睨んだ瞳は既に濡れていた。




「簡単なんかじゃない!!!!
 だか、らっ・・・・だからっ
 こんなっ、まいっにちっ・・・・っ
 くるしぃ・・・んだっ・・・・・」




激情が


爆発した




急激な 感情の高ぶりは、ボロボロと

溢れる水分を 増長するだけさせた。



「カズ・・・・・」



「ゔっ・・・ぅぁぁぁあああっっ・・・・」




とうとう

張り詰めていたものが

弾けてしまった・・・・



人には滅多に見せない

おまえの心の奥の奥に

仕舞いこんでいたはずだった本音



抱き締めて、その涙を、劣情を

受け止めてやるよ


俺は、それしか出来ないから・・・・


自分のちっぽけさを痛感する


また俺は・・・・

一緒に涙を流して

受け止めてるだけだった





どうしたら


こいつの事を救えるんだ?


どうしても分からない


分からないんだ・・・・・



こいつが望む未来が・・・・・・






救えるのは


あいつしかいない


それだけは、分かっていた・・・・