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「決別」和也side









はぁっはぁっはぁっはぁっ…




どこまで走り続けたら雅紀の所へ辿り着くのか…分からないまま闇雲に走った。


走って走って手足が動かなくなってもいい。




どうか、どうか僕を雅紀の元へ連れてって!



それだけで良いから…
それだけで…





「カズ!!待って!待てよ!!」

 


思い切り腕を掴まれ静止させられる。

1度止まると息切れが激しく上手く立ってられない位の疲労を感じた。



「はぁっはぁっはぁっ
   待ってって…ゴホッ…
   言ってんだろ?!!」 


「だって!!翔ちゃん!!
   雅紀が危ないんだよ?!」


「分かってるよ!!!
  でも闇雲に走り回ったからって見つからない
  事務所を…見る限りっあそこに居たのは
  間違いないんだっ…だからっ…
  あと、何処に行ったか……はぁっはぁ…」
 


「秘密基地にもいなかったっ…もぉ…
  あと何処に向かったかなんて分からないよ?
  だから急いで探すしかないじゃないか!!」



言い合いなんてしている暇なんてないんだ!
という目で翔ちゃんを睨んだ。



翔ちゃんはそんな俺を見て
今にも泣きそうな顔で見つめている。



「翔ちゃん…」



「うん…」



「手分けして探そう」



その言葉に首を横に振りながら
掴んでいた腕を更に強く掴み直される。



「ダメだよカズ…もし、
   どっちかが見つけた時に何かあっても
    誰にも助けを呼びに行けないかもしれない…
   ココは2人で一緒に探した方がいい…」



もしかしたら……の最悪の状態を言葉にしなくてもお互い分かっていた。



雅紀は今頃、真彦に…



だから翔ちゃんの言う事はもっともだった。




「じゃあ、どうしたら良いの?…」




僕が、僕が弱気になったりなんかしたから
あいつは…




「カズ、1度ホームに戻ろう!
   施設長に全て話してみんなで探す方が
   人出も増えるだろ?」



「……何、言ってるの翔ちゃん…
  間に合わない…それじゃあ…
  そんな事言ってたらあいつが!!
  雅紀が殺されちゃうよ!!!!!」



悲痛な叫びとなって空に消えていく言葉は
目の前にいる人の気持ちも見えなくする。



「やっぱ手分けしよう…
   翔ちゃんは翔ちゃんのやり方で
   僕は僕のやり方で探すから…」



「………わかったよ…じゃあ、俺は
  施設長呼びに行ってくるから」



結局、何が正解なのか分からないから
お互いが思うようにするしかないじゃないか


だから、


そんな悲しそうに見るなよ…





「分かった、僕は崖の方まで行ってみる」














すみません。途中カズの一人称が俺に…
この時はまだ僕でした。m(_ _)m