{B1108A0C-C03C-449C-9BB1-206AED1FBEAC}

「約束」相葉side







どーして?



どーしてカズばかりが特別なんだろう?


どーしてずっと一緒にいる俺には
そんな仕打ちばかりするのだろう?


どーして俺を憎むの?


ねぇ………どーして?
 


普通ならそんな風に思うよね。







「実はさ、カズの事を頼まれたんだよね」



カズと仲良くなって少し経ってから
打ち明けた真実。


それを聞いたカズは、元々下がり気味の眉を更に下げて困ってるような顔をしていた。


だからもう一度同じような事を
言ってあげる。



「智君に、カズを頼むって、
   頭下げられたんだよ」



それを聞いたカズは、目を潤ませながら
ジッと俺の事を真っ直ぐ見つめていた。



俺はカズのその目を見つめ、その時の話を
一つ一つ思い出しながら伝える。




ーーーーーーーーーーーーーーー




「頼む!!」


「……智くん…」


日中は誰も来ないと言う布団部屋の更に奥で
2人、膝を付き合わせ向き合って座っていた。


急に呼び出されて告げられた智君の里子の話
カズの事…信じられないと言う気持ちが強くて正直パニクっていた。


「おまえにしかもう頼めないと思ってる。
   もちろん、色々思う所があるのも
   わかってる…」


あの、あまり喋らない智君が自分に向かって
頭を下げている。


でも、智君の優しい気持ちが伝わって来て
それにちゃんと答えなきゃって思った。



「………智くん。俺、カズの事
  嫌いじゃないよ?」


「…うん。」


「あいつさ…なるべく俺に被害が少ない
   ようにしてくれてるんだよね…
   ちゃんと、気付いてたよ?」


「そっか…」


「本当はさ、俺…
   カズと仲良くしたかったんだよ?
  ココに住んでるみんなと仲良くしたいんだ」


初めて自分の本音を他人に話してみた。
きっと智君なら聞いてくれると思ったから…


「ホントはね…一緒に住んでるんだからさ、
   みんなと兄弟のようにしたいんだよね…」


ずっと、思っていた願いも
思わずこぼしてみる。


「うん…雅紀の事もカズも…みんなおいらの 
  弟達だと思ってるよ?」


思いがけない言葉をくれた。


智君は、どちらかというとそんな風に考えているタイプではないと思っていたから…
共感して貰えた事がとにかく嬉しかった。


カズの事はまだ良くわからない事が沢山ある。
でもそんなのこれから知っていけばいいんだよね。


俺には確信していることがある。
カズとはきっと気が合うと思うんだ。
漠然とだけどなんか自信がある。


今まで逃げていた分、ちゃんと向き合って
仲良くなれたらいいな…だから…



「智くん、カズは俺が守るよ」


「…うん、頼むよ」


「あ、でも…俺なんかに
   守れるかわからないけどさ…」


「大丈夫。雅紀ならきっと出来るよ」


「うん…ありがとう…
   あの、智君も頑張ってね?」


「ありがとう」



そう言って柔らかく笑った智君を見たのは
それが最初で最後だったと思う。


智君の気持ちが嬉しいのと、別れが淋しかからか、なんだか泣けて来てしまった。

智君もホッとしたのか、別れが淋しいのか…
涙目で笑っていた。


そうして、智君はノースリバーから去っていった。



智君の言葉に背中を押された俺は、
その話しを翔ちゃんに話した。
勿論翔ちゃんも快く受け入れてくれたよ。


でも、その後俺はどうやって仲良くなればいいんだろうと悩んですぐに声をかけられなくて…


だって、もし嫌がられたりしたらと思うと
怖かったんだ。


仲良くなりたいのは自分だけだったらどうしよう…そんな事を思うと、中々勇気が出なかった。


だからさ…カズから話しかけられて、
ほんっとに嬉しかったんだ。


俺の人生の中の嬉しかった事の
5本指には入るね!




全て話し終えた時、君は泣くのを我慢するためにへの字口で俺を睨んでいたね。



「……ばかやろー……
  もぉ、泣かないって決めたのに…」


「なんで?…んーじゃあさ…
   俺の前だけでは我慢しないで泣いてよ?」


「…え?」


「俺はカズの泣き場所になるよ」



別に深く考えないでポロっと出た言葉だったんだ。


その言葉を聞いてカズが真っ赤になって泣いた時、本当にこれからそうなればいいなと改めて思ったんだよね。





でも…君は今、

その言葉を重荷に感じてしまったの?



今でも俺は、カズの泣き場所でありたいと

思っているよ…