家族や友人、または自分が癌など、大きな病気にかかってしまったとき、なにが標準治療で、どこでそれは受けられるのか、または手術をする場合、どこの誰にやってもらえばいいのか、まったくわからない。

 

癌の治療と言っても

放射線治療

化学療法

外科療法

 

などがあり、何をどう選択するかは、その病院や医師にゆだねられており、それが本当に正しい方法なのかどうか、よくわからない。実際にセカンドオピニオンを受ける場合、自費による受診をしなければならない。

 

例えば、外科手術の場合、外科医の腕がこれまた千差万別であり注意が必要だ。

立派な大学病院だとして油断はできない。全身麻酔がかかり、意識がない中、だれが執刀したのか、知る由もない。

 

麻酔科医として勤務しているとき、ベテランの先生があれば3時間程度でおわる直腸癌の手術が、外科医1年目の先生が最初から最後まで6時間以上の時間、汗をかきながらやっていた。そういったことがよくみられる。

 

脳外科の手術は、とくに施設間、執刀医のレベルに顕著に差が出る。開頭するまでに通常なら1時間以内だが、手術の遅い先生は、2時間以上もかかる人もいたり、やっと手術が始まっても、8時間12時間、ひどい時は16時間など、ざらに手術を続ける連中がいる一方、手術にもよるが、同じ手術内容を速い先生なら3時間程度、一日2件をこなせる先生もいる。

 

手術が速いということは、手術を本当に理解していて、むだな遠回りはしないということだ。遅い人はそれだけ、無意味な無駄なことばかりして遅遅として一向に進まない。

 

外科の医局からすれば、早く一人前になるために症例を経験してもらいたいということかもしれないが、やってもらう側としてはどうだろうか。

経験が未熟な医師が執刀医となっているその事実を手術前に患者へ話されているのだろうか。

 

情報公開が最も遅れているとされている医療界。誰がどんな治療をして、その結果がどうなっているのか、国民のだれもが分かるようにするべきではないだろうか。