誰にもある

幼い頃の忘れられない思い出は


虹の雫のように

心の中の隅っこでキラキラと光る

小さな宝物

 

その一粒一粒を

思い出すたびにちょっぴり心が切なくなって

ほろりと涙がこぼれそうになる


そんな幼い女の子の愛情物語


*

*

*




幼い頃の女の子は


誰よりも何よりもお母さん思いで



お母さんを困らせたくなくて


お母さんに心配をかけたくなくて





まだまだ甘えたい盛りの


幼い子供なのに



お母さんの左手が痛くならないように


ワガママも言わず


一生懸命お母さんの役に立とうとします




小さいけれどお姉ちゃんだから


頑張って弟の世話もします




遊ぶ時もそうです


なんでも自分で考えたり自分なりに工夫します





そんな女の子でしたが


一度だけすねてしまったことがありました





それは3歳くらいのときでした





ベランダで日向ぼっこしながら


家族写真を撮った時のことです





女の子とお母さんと赤ん坊の弟の3人で


ベランダに並んで


お父さんに写真を撮ってもらいました





そのときに


赤ん坊の弟がお母さんに抱っこされて


お母さんのホッペに顔をくっつけて


お母さんと一緒に笑ってる姿を


女の子は隣に立って見ていました





そのうち


女の子もお母さんと一緒に


ほっぺをくっつけたくなって





そして


お母さんに抱っこしてほしくなって






弟ばっかりずるい




私ばっかり我慢してる






と、なんだか悲しくなってきて


心の中でそう思ってしまいました





でも、口には出せなくて


唇を噛んで


お母さんに背中を向けました





そして、ベランダに干していたお布団に


おでこをギューっと押し当てて


誰にもわからないように我慢しました






、、、でもね



その時の3人の様子を


お父さんが写真を撮っていたので




写真には


拗ねている姿がしっかりと残っていました





だから、大人になった女の子は


その拗ねている幼いころの自分を


写真で見るたびに





よく耐えたねって


なんだか微笑ましくて


愛おしく感じるのでした






なんであんなに


我慢しちゃったんだろうね





どうしてワガママ


言えなかったんだろうね







。。。きっと






お父さんにもお母さんにも


笑っていてほしくて




家族みんなで仲良く


この幸せがずっと続いて欲しくて





小さな女の子の心は


いつもいつも


頑張っていたんだね







本当に偉かったね







大人になった女の子は


その写真を時々抱きしめながら





想像の中で


小さかったあの頃の自分のほっぺに


頬をくっつけてあげるのです