誰にもある

幼い頃の忘れられない思い出は


虹の雫のように

心の中の隅っこでキラキラと光る

小さな宝物

 

その一粒一粒を

思い出すたびにちょっぴり心が切なくなって

ほろりと涙がこぼれそうになる


そんな幼い女の子の愛情物語


*

*

*

 



女の子のお母さんは


左側の腕から手にかけて生まれつき


障がいがありました




日常生活はさほど支障がないとはいえ


左側の手では重たいものを持ったり


細かいものを掴んだり




他のお母さんのように


出来ないこともやはりありました




女の子が幼稚園くらいまでは


お母さんと手を繋いで歩いていましたが




弟がいない時だけ


女の子はお母さんの右手を繋ぐことができました




幼い弟がいる時は


弟はいつもお母さんの右手をつなぎます




女の子はお姉さんだから


いつもお母さんの左手をそっとつなぎます




ギュッと手をつなぐとお母さんは手が痛いので


痛くないように加減しながら


女の子はお母さんの手を優しく繋ぐのです




まだ幼稚園の女の子には少し難しかったけれど


それでも自然に手を繋ぐときの


強さを加減できるようになりました




手を握るというよりも


お母さんの手に添えるように優しく繋ぎます




自分はお姉ちゃんだから


って、いつも自分に言い聞かせながら


そぉっと手を繋いで


笑顔のお母さんの顔を見て安心するのでした




でもね、、、




女の子は時々


幼い弟みたいに何も気にせず


お母さんの手をギュッと繋いで歩きたい


気持ちになります




お母さんお母さんって


甘えながら繋いだ手を振って歩きたい、、、




だけど


自分まで甘えん坊さんになったら


お母さんを困らせてしまう




お母さんの手のことでわがままを言ったら


お母さんが可哀想




弟はわたしより小さいのだから


わたしが我慢しなくちゃ




そう思って


女の子は甘えたい気持ちを


グッとこらえるのです





、、、これが


まだ幼稚園児だった女の子が


幼い弟と一緒にお母さんの手を繋いで


歩いた思い出です




そんな我慢強い女の子にも


実は一度だけ


お母さんにどうしても甘えたくて


拗ねている姿の写真が一枚だけあります




その古い写真を見るたびに


大人になった女の子は


幼かった頃の自分を抱きしめてあげたく


なるのです。。。





その女の子の思い出のお話は


また次回に…˚⁎⁺˳✧༚