『トイレのピエタ』を観ました。 | ARTS&WORDS

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こんばんわ。
今日も1日お疲れ様でした。


さて、私は『トイレのピエタ』を観ました。

いきなりエンドロールの話になりますが、
なぜか手塚治虫の名前があったことに驚き、公式サイトを見てみたら、
手塚治虫の日記の最後のページに書かれていたアイディアが元になっている映画だそうで。
手塚治虫といえば、真面目なマンガのイメージで、
こんな話も考えていたのか、と思うととても不思議な気持ちになりました。
もちろん携帯電話とかそういう現代的な機器は出てくることはないはずなのですが。

美大を卒業し、夢を諦め、窓ふきのバイトをする主人公。
ある日仕事中に倒れ、病院で検査を受けた結果、余命わずかであることが告げられます。
本当はそのことを家族といっしょに聞かねばならなかったのですが、
彼はそれをせず、たまたまそこに居合わせた女子高生を同席させ、
そこから二人の交流が始まっていくというストーリー。

ときどき主人公が口ずさむ威風堂々の調べ。
なのに、全然彼は堂々としていない。
余命宣告を受けて、生きたいと願うわけでもなく、
かと言って、死ぬことを受け入れられるわけでもなく。
どうしたらいいのか迷っているうちに、時間だけが過ぎていく。

なぜ、人は生きているのでしょうか。
なぜ、死にたいと思っても死ねないのでしょうか。
生きていると実感できる瞬間ってどんな時でしょうか。
誰からも必要とされていないという感覚は、
手塚治虫の時代からずっと誰かしらの心の中に巣くう闇だったことに気付かされます。
もしかしたら、それよりもずっと前から誰でもが感じる不安だったのかもしれません。

金魚屋で買った金魚を女子高生の通うプールに放つ場面があって、
プールの水色と金魚の朱が美しいなと思いました。
あんなに塩素が強いところでも、金魚って生きられるのかな、と真面目なことも疑問に感じたり。
夏を感じる映画でした。


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詳細はこちら。
映画『トイレのピエタ』 公式サイト

明日もいい日になりますように。

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